『ハリーひどいですよぅ…』
「大丈夫、可愛いよ。」
『嬉しくないです…』
私の感情に合わせて上下する耳に泣きそうになる。
私がこうなったのも、双子からもらった飴玉を舐めたから。
舐めないって決めてたのに私、間違って舐めちゃったです…!私の馬鹿…!
「尻尾まであるんだね。」
『ハリーのばぁかです…』
「はいはい。じゃあ、僕はもう行くから。絶対にドラコの前ではフードを脱いじゃダメだよ。」
『わかってるですよ!じゃあハリー、クィディッチ気をつけてくださいね。』
にっこりと笑うと、私は自分の寮の観客席に向かった。
猫耳がバレたのはアレですけど、ハリーですし、やっぱり双子にバレなければいいやです!
「ナマエ、遅かったな。」
『ごめんなさいです。ドラコ。いろいろあったんです。』
「そうか…、で、そのフードはなんだ?」
『……気にしちゃダメです。』
「………」
のちに、ドラコは語る。
このときのナマエの瞳は疲れきっていたと…
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ドラコがフードについてなんにも言うことなく、クィディッチはなにごともなく終了した。
ちなみに結果はハリーの大活躍でグリフィンドールの勝ちでした。
スリザリンが負けて項垂れてるドラコの頭を一撫ですると、私はハリーにかけた魔法を解こうとグリフィンドールの方へ向かった。
私がかけた魔法は魔法から自分の身体を護る保護呪文。
パーセルマウスを組み合わせてるから私以外には解けないし、私以外は使えない。私だけの魔法。
だから、もしかしたらセブルスにバレちゃうかもしれないんですよね。
今日もクィレルがハリーに何かをかけようとしてたのに、かからないのをセブルスが不信に思ってたようですから。
『ハリー!』
「ナマエ?ここに来て大丈夫なの?」
『うー、たぶん大丈夫です?』
スリザリンの先輩を頭に思い浮かべてコテリと首を傾げる。
そういえば、もしかしたら文句言われるかもですね。
「で、どうしたの?」
『あ、ハリー後ろ向いてくださいです!』
素直に後ろを向いてくれたハリーに無声呪文で魔法を解く。
それからギュッとハリーに抱き付いた。
『ハリー!クィディッチおめでとです!かっこよかったですよ!』
「あ、ありがとう…」
「「おや?ハリーとナマエじゃないか!」」
『うげ…』
ハリーに抱き付いてると、後ろから私が猫耳姿の原因の声がした。
やだ、嫌な予感しかしないです。
「うげ、だなんて!」「そんなこと言われるなんて悲しいなぁ!」
『…で、なんの用です?』
「ナマエ?どうしてそんなにムスッてしてるの?」
『だって…』
この双子のせいで私、猫耳なんですよ…
という言葉をグッと我慢して双子を見る。
「それより、ナマエ嬢はなんでフードを被っているんだい?」「そうそう!そんなの被っていたら可愛いナマエ嬢の顔が見えないじゃないか!」
『ちょ、だ、ダメですぅぅう!』
「あ、」
じわじわと私に近づいてくる双子から逃げていると、フレッドの方が私のフードを素早く取った。
『ふぇ、』
「やっぱり似合ってるじゃないか!」「最高だよ!白で正解だったな!相棒!」「あぁ、そうだな!」
「ナマエ、どんまい。」
『ハリーの薄情者です…!』
私がハリーに悪態ついてると、さらに笑みを深めた双子が懐から何かを取り出した。
『……なんでカメラがそこにあるんですか?』
「「さぁ、なんでだろうな?」」
『嫌な予感しかしないです…!』
チラリ、とハリーを見て助けを求める。
すると、ハリーは面白いことを見つけたようにニコリと笑った。
「ナマエ、僕は助けないからね。」
『なんでです?!』
「だって僕もナマエの写真ほしいもん」
ダメです!味方がいないです…!
『あ、あの、私、もう帰らなくちゃダメですから…!』
「ダメダメ!」「俺たちもクィディッチて活躍したんだぜ?」
「「俺たちにもご褒美は必要だろ?」」
『…ソウデスネ』
もういろいろ諦めましたですよ…。
そのあと、私は何度も何度もフレッドとジョージ、それにハリーに写真を撮られましたです。
本気の目が怖かったです…!
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bkm