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棍棒を軽くよけると徐々にトロールの方に向かって歩みを進んで行く。
そんな私を棍棒で殴ろうとトロールはだんだんと後ろへ下がって行った。

不安そうに私を見るハーマイオニーにニコリと微笑みながらトロールの棍棒から逃げる。

逃げることを続けていると、ハリーの声が聞こえた。


「こっちに引きつけろ!」


トロールはハリーが投げた蛇口に気付いてハリーを視界に捉える。
それから私をチラリと見ると、私から興味をなくしたようにハリーに棍棒を振り上げながら近づいた。

それからのハリーとロンはすごかった。
なにがすごいかって?二人のコンビネーションがですよ。

勇猛果敢?にトロールの腕に飛びつくと、ハリーはトロールの鼻に自分の杖を突き刺した。トロールはハリーを振り払おうともがく。
その隙にロンは自分の杖を取り出して、浮遊術を唱え棍棒をトロールの頭に落とした。

いやーなんというか、やっぱりすごいです。
さすがです!

ちなみにその間私はハーマイオニーを抱き締めてトロールが倒れた時は一人拍手したです。


「これ……死んだの?」
「いや、ノックアウトされただけだと思う。」
『ハリーとロンはすごかったですねー。』


そういいながら、ハーマイオニーにかけた呪文を解く。
すると、トロールの鼻くそがついた自分の杖をトロールのズボンで拭いていたハリーに睨みつけられた。
……え?なんでです?
怒りたいのは私なんですよ?



「名前、なんでここにいるの?」
『ハーマイオニーと私が友達だからですよ?あぁ、でもハリーとロンはハーマイオニーが嫌いなんでしたっけ? ……私の友達を傷付けるならいくらハリーとロンでも許さないよ。』
「「っ、」」


ジトッと二人を見ると、二人は思い当たることがあったようで私からすぐに目を逸らした。
すると、急にバタンという音と足音がして私たちは顔をあげた。それからすぐにマクゴナガル先生が飛び込んできた。それからセブルスとレギュラス、最後にはクィレル先生だった。

マクゴナガル先生は顔面蒼白になりながら、静かに怒っていた。
セブルスはセブルスでハリーばっかり睨みつけてるですし…
レギュラスは怒ったようで私を見てるですし…
クィレル先生はなんか臭いですし……

私がそんなことを考えていると、今まで私の腕の中にいたハーマイオニーが私の腕から出ると声を発した。


「マクゴナガル先生、聞いてください…、三人は私を探しに来たんです」
『ぅえっ?』「ミス グレンジャー!」


びっくりしたように私が言葉を発するとハーマイオニーは私の手を握りながらマクゴナガル先生をまっすぐに見つめた。


「私がトロールを探しにきたんです。あの、トロールのことは本で読んでいろいろなことを知ってたので…」


私の手を握るハーマイオニーは震えていて、きっと怖いんだろうってことが容易に伺えた。


「もし三人が私を見つけてくれなかったら、私、今頃死んでいました。ナマエは私を庇ってトロールと向き合ってくれ、ハリーは杖をトロールの鼻に刺し込んでくれ、ロンはトロールの棍棒でノックアウトしてくれました。三人とも誰かを呼びにいく時間がなかったんです。」


ハリーとロンがそのとおりです、という顔を装っているのを横目に私はハーマイオニーの横顔を見た。
やっぱりハーマイオニーは優しい子です。
本当は嘘つくのイヤなのに、

マクゴナガル先生は私たちを呆れたように見ると、ハーマイオニーから五点引いて、私とハリーとロンには五点ずつくれた。

それから、私たちが自分たちの寮に帰ろうとすると、私だけセブルスとレギュラスに呼ばれた。

うぇ、イヤな予感しかしないです……

着いて行った先には二人の仕事場?である地下牢。


「さて、ミス リンドウ。何故あんな無茶をした?」
『……ごめんなさいです…?』
「なんで疑問形なんですか。もしかしたらナマエはトロールにやられることろだったんですよ?…貴女は僕にどれだけ心配かけさせるんですか…!」
『ごめ、なさで、す…』


そう言うレギュラスはすごく辛そうで、
やっぱり“私”の、“サラ”の死は誰かのトラウマになったっていうことが分かって、

なんだか心が痛かった。


「っっっ、お、おい、リンドウ…?」
『へっ?』
「な、何故泣くんだ…?」
『……?』


セブルスの言葉に目元を触ってみればそこは濡れていて、
あぁ、私は泣いてるですか…


『……私、今日はもう寝るですね』
「…じゃあ、僕が寮まで送ります。ナマエ行きましょう。」
『はいです…』


レギュラスに手を引かれながら、スリザリン寮に向かった。


「ナマエはなんで泣いてるんですか?」


二人で歩いていると、レギュラスが下を向いてる私の顔を下から覗きながら、子どもに話すように手をつかんでそんなことを聞いてきた。
それに私はなんにも言えなくなって、
なんで私はこんなに泣いてるです?


「しょうがない……」
『ぅ、?』


レギュラスは一言呟くと私をお姫様抱っこし始めた。
ぅ、あ?なんでお姫様抱っこ…?
それからレギュラスは赤ちゃんをあやすように私の背中をぽんぽんと叩いた。


『……?』
「ほら、お願いですから泣かないでください。僕は昔から貴女の泣き顔には弱いんです。」
『うぅ…だって、だって、なんかわかんないですけど、悲しいです…!』
「はいはい。きっと今日は疲れたんですよ。僕が送り届けてあげますから、ね?」


そんなレギュラスの声を最後に私の意識は闇の中へ落ちていった。


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