コツコツと私の足音が辺りに響く。
なんか足音って怖いですよね。
うん。怖いです。
地下まで行くと扉が見えてきたので、ワクワクしながらその扉を開けた。
『こんにちわです!』
「!…ミス リンドウ、なんのようだ。」
『今日はハロウィンですよ?トリック オア トリートです!ちなみにせっ…スネイプ先生には悪戯する時ように、背が縮む薬と前の動物になる薬改良型を持ってきたです!』
にっこりと笑いながら薬品をチラつかせるとセブルスはまるで苦虫を噛むように私にお菓子を渡してきた。
『ちぇ、お菓子持ってたですか。』
「…リンドウ、サラ・レイニーという魔女を知ってるか。」
『しっ、知ってるですよ?名前だけですけど。』
いきなり私の前世の名前が出てきたことに内心びっくりしながら返事を返す。
びっくりした、びっくりしたですよ!もーう!
バレたかと思ったじゃないですか!
ちなみにサラ・レイニーはハリーと同じくヴォルデモート卿と勇敢に戦った者として有名になってる。
リリーとジェームズも有名だけど、サラ・レイニーはその保護呪文でハリーを死の呪文から守ったからさらに有名。ついでにいうと、リリーとジェームズはあの日に死んだことになってる。
「………」
『なんでいきなりそんなこと聞くです?サラ・レイニーはみんな知ってると思うです。』
「いや…「あれ?ナマエ?なんでここにいるんですか?」
ちょっとビビりながらセブルスに話を聞こうとすると、微妙なタイミングでレギュラスがきた。
『あっ!れっ………ジウ!トリック オア トリートです!』
「はい。」
『…なんかみんなお菓子持ってるですね……』
悪戯が出来なくてぷくーっと頬を膨らましていると素晴らしく笑顔なレギュラスが私の目に入った。
『(あ、イヤな予感するです。)』
「トリック オ『あ!もうすぐで一時間目始まるです!とゆーわけでまたです!セブ!お菓子ありがとです!』あ、馬鹿。」
それから私はびゅーんと素早くスリザリン寮に帰った。
レギュラスから逃げるのに急いでいた私は気が付かなかった。慌てててセブルスのことを気安く呼んでしまったことに。
「なぜあいつが我輩をファーストネームで呼ぶのだ…?」
「馬鹿だから間違えたんですよ。馬鹿だから。」
「リンドウと知り合いか?」
「親戚ですよ。ファミリーネーム一緒じゃないですか。」
「あぁ、そういえばそうだな。」
「……(鈍くて助かった)」
行く先々でトリック オア トリートって言ってたら両手で持ち抱えられないほどの大荷物になってしまった。なので、縮小魔法で小さくしてポケットに詰め込んだ。
それにしてもみんな準備がいいですね。
悪戯できないじゃないですか!
お菓子は嬉しいけど、悪戯ができないことに頬を膨らませていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「お、いたいた。」
「ナマエー!」
『フレッドとジョージ?どうしたです?』
それは二代目悪戯仕掛け人の双子だった。
何故かとても輝いてる笑顔で私を見てくる。
え?なんでです?
なんだか逆に怖いですよ。
私の目の前まできた二人にちょっとだけ後退りして距離をとる。すると、ニマニマ笑顔の二人が話し始めた。
「ナマエ、今日はなんの日か知ってるか?」
『?ハロウィンですよ?』
「じゃあ、もちろんお菓子は持ってるよな?」
『……あ、』
「「トリック オア トリート!」」
お菓子忘れてたですぅぅぅううう!!!!!!
もらうことと悪戯することしかか考えてなかったです!!!!
やばいです、やばいですぅぅぅう!!!!
冷や汗ダラダラになりながらポケットから一つのお菓子を取り出す。
『え、えっと、これでどうです?』
「ダメだよ!ナマエ!」「人からもらったものはずるいだろ?」
試しに通りすがりのハッフルパフの生徒からもらった飴玉を渡してみた。見破られた。
なんでです!お菓子あげたんだからいいじゃないですか!
『ずっ、ずるいです。そういうフレッドとジョージはお菓子持ってるです?』
「当たりまえじゃないか!なぁ、相棒?」「あぁ!ほら、ナマエ。おねだりしてみなよ!」
おねだりって…言い方……
なんか嫌です……
まあ、いうですけど!
『トリック オア トリートです!お菓子くれなきゃ悪戯するですよ!』
「「はいどうぞ。」」
『……普通のあめですよね…?』
「「当たり前じゃないか!」」
ニヤニヤと笑いながらあめを渡すフレッドとジョージから受け取ったはいいですけど怖いです。
とりあえずポケットにいれておいたけど…怖いから食べないでおこうです。
「「で、俺たちにお菓子は?」」
『……』
「ないなら悪戯決定だな。」「あぁ。そうだな、相棒」
そう言ってジワジワと私に近づいてくる双子に恐怖を感じ、私も後ろへ逃げる。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいです…!
嫌 な 予 感 し か し な い で す !
『ぅ、あ、』
「はい、逃げられなーい」「まあ、もともとと逃がす気はないけどな」
『っ、』
ずっと後ろに逃げ続けてたら後ろはとうとう壁。
どうするです?どうするです?
いっそのこと目くらまし…あ、でも一年生の私がそんなのやったら怪しすぎるです。
グルグルと頭の中でどうやって逃げるか考えている間にも、二人は迫ってきていて、
覚悟を決めるようにギュッと目を瞑った。
ちゅっ
『……へ?』
「ごちそうさま。」「やっぱりナマエの肌スベスベだね。」
耳に響くのはリップ音。
それからほっぺに温かい何か。
『……へんたいです』
「「なにか言った?」」
『…なんでもないですよ!私、もうすぐ授業だから行くです!』
心のノートに双子は変態と書き込むと私は二人から逃げるようにしてその場を後にした。
ほっぺにチューって恥ずかしいんですよ…!
「行ったな。」「そうだな。」
「あめ舐めてくれるといいんだけどな。」「な、まあ、ナマエのことだからそのうち舐めるだろ。」
「楽しみだな。」「あぁ。楽しみだ。」
逃げ去った私は二人の会話は聞こえなかった。
聞いてればなにか変わったかもしれないのに。
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bkm