『トリック オア トリートです!』
キラキラとした瞳で僕を見る幼馴染にしょうがないと一言呟いて、この日のために取り寄せていたクッキーを渡すと、彼女はとても嬉しそうにはにかんだ。
「……夢、か…」
もう一生逢えない幼馴染を思い出して、私は今日も彼女の護った彼を憎みながら護る。
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「ナマエ!」
『んむ、?』
もぐもぐとドラコと一緒に朝ごはんを食べているとハリーに呼ばれたので振り返る。
ハリーがスリザリンの席に来るなんて珍しいので、みんなに注目された。
『?どうしたです?』
「誕生日おめでとう!これ、プレゼント!」
ニコニコスマイルのハリーが取り出したのは可愛くラッピングされた箱。
そう。今日は私の誕生日兼“サラ”の命日兼ハッピーハロウィンなのですよ!
『わ、ハリー!ありがとです!…と、ついでにトリック オア トリートです!』
「あぁ、言うと思ってたからちゃんと用意してあるよ。はい。」
『蛙チョコです!ありがとです!ハリー大好きですよ!』
嬉しくてギュッとハリーに抱きつくとハリーも抱き締め返してくれた。
そういえば、今日の朝はレインがお母さんとダドリーとペチュニアおばさんとバーノンおじさんからのプレゼントを持ってきてくれた。
お母さんからは手作りお菓子の詰め合わせ。ペチュニアおばさんとバーノンおじさんからはマグル製の文房具セット。ダドリーからは可愛らしいペンダントをもらった。
あぁ、私幸せです…
「ちょ、ちょっと待て!」
『?なんですか?』
「……なに(邪魔しないでよ)」
「……(ハリーの思ってることが手にとるようにわかるだと…?)」
ドラコが話しかけてきたので、ハリーから離れてドラコを見るとドラコは顔が青かった。
『体調悪いです?』
「ち、違う!それより、僕はナマエの誕生日が今日だなんて知らなかったぞ!」
『え、だって自分の誕生日言いふらしてたらただの馬鹿みたいじゃないですか。』
きっとホグワーツで私の誕生日を知ってるのはハリーと…あ、アルおじいちゃんぐらいです。
ちなみにアルおじいちゃんには珍しいお菓子の詰め合わせをもらったです。一口食べたらとっても美味しかったのでチマチマ食べるです。
ユキジには今日は特別に日本の甘味を作ってもらうことになってる。ワクワクですね!
「だ、だけど、」
『あ、ドラコに言ってなかったです!』
「は?」
『トリック オア トリートです!お菓子くれなきゃ悪戯するですよ!』
にこーっと笑いながらドラコに言うと何故か顔を赤く染めてた。さらに、そんなドラコはそのあと笑顔のハリーによってぐちぐちと文句を言われててかわいそうだったです。
うん。やっぱりハリーは怖いです。
今日はハロウィン!
ちょっとだけ忘れてて、いろんな人に言えなかったので、今からお菓子略奪やるですよ!
『ハーマイオニー!おはようです!』
ご飯が食べ終わってグリフィンドールの談話室に向かおうとしているハーマイオニーに抱き着いて見上げながらあいさつをする。
振り返ったハーマイオニーは申し訳なさそうな顔をしながら私の頭に手をおいた。
「おはよう、ナマエ!今日誕生日だったのね。知らなくてごめんなさい。改めて誕生日おめでとう。」
『!ハーマイオニー大好きですよ!私も改めてトリック オア トリートです!お菓子くれなきゃ悪戯するですよ!』
言い終わってからハーマイオニーのほっぺにチュッと親愛の意味を込めてキスをしてからお菓子ちょうだいとでもいうように手のひらを差し伸べる。
すると、下を向いたハーマイオニーがぶるぶると震えだした。
『?ほっぺにちゅーはダメだったです…?』
「〜〜っ!ううん!可愛いわ!」
『むきゃっ、』
ほっぺにちゅーはリリーとやってたこと。
よくこれをすると、リリーが喜んでたからハーマイオニーにもやってみたけど…
うん。ハーマイオニーとリリーは同じです。
「これお菓子ね。また、お話しましょう。」
『わぁ…ハーマイオニーありがとです!』
ハーマイオニーがくれた丁寧にラッピングされたクッキーを抱きしめると、私は次は誰にやろうかとワクワクしながらハーマイオニーと別れた。
ふふふー!ここにシリウスがいたら楽しかったのにですよー!
お菓子しぼりっとてからリーマスと悪戯するの楽しかったです。
懐かしいハロウィンを思い出しながら、次はセブルスとレギュラスにでもやろうと地下牢へむかった。
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bkm