次々とみんなが呼ばれる中で、ハリーやロンそれからドラコだとかなんだか聞き覚えのある名前に私は苦笑を隠せなかった。
ちなみに、ハリーとロンはグリフィンドール、ドラコはやっぱりスリザリンらしい。


「リンドウ ナマエ」
『!…はぃ、です。』


とうとう私の名前が呼ばれたので、私は組分け帽子のもとへ小走りで向かう。
それから椅子に座ろうと思ったけど、ここで大事件発生。


『!!!?』


乗れない、乗れないです。
日本人は身長が低い。さらに私はその日本人の中で身長が低い方。
とゆーことは、です。背が高い人が多い中で低い椅子を作ってることはない。前世でも、身長は低い方だったけど、今の私よりは背が高かったから余裕で椅子に座れた。
でも、今の私じゃ無理だ。絶対無理だ。
後ろから早くしろよ、とばかりに来る人の視線。私はもう泣く寸前だった。


『せ、先生…、椅子に座れないです…』
「「「「………………」」」」


もうヤダです。
あ、でも待って。助走付ければいけるかもです。
そう思った私は椅子から距離をとってジャンプで椅子に乗ろうと試みる。


「!?ミス リンドウ…?なにをしようとしているのです?」
『え?あ、助走つければ座れるかな、と思ったので、助走つけて座ってみようと思ったです。』


私の言葉にマクゴガナル先生は呆れたように私を見てくる。それに比べてダンブルドア先生はとっても面白そうだ。


「スネイプ先生、ミス リンドウを座らせあげなされ。」
「……はい。」


ダンブルドア先生がそう言うと、とっても嫌そうな顔をしたセブルスが私に近付いてきて椅子に乗せてくれた。


『え、ぁ、せっ、…じゃなくてスネイプ先生ありがとうございますです。』
「いや…」


セブルスはすぐに私から離れるとさっさと自分の席へ戻ってしまった。
無愛想なセブルスめっ!
そんなことを思いながら私は組分け帽子を被った。
てゆか、なんで帽子被るだけでこんなに疲れなくちゃいけないですか!


「おや、久しぶりじゃないか。ミセス サラ。スリザリンの子孫。」

今はスリザリンの血はないです。
それにサラじゃないですよ。ナマエです。

「それは悪かった。さて、君はどの寮に行くかね」

聞くだなんて、性格の悪い帽子です。
前だってそうやって聞いてからスリザリンにしたです。

「あぁ、そうだったね。君はスリザリンに行くと決まってるんだ。」

誰が決めたですか。そんなの初耳です。

「スリザリン!」

無視ですか!

私は帽子を脱ぐと一回睨みつけてから、ぴょんと椅子からおりた。椅子からおりる時に滑ったのは秘密です。

私がスリザリン寮の席に行くと上級生に話しかけられた。


「やぁ、ミス ナマエ。君は純血かい?」


ピシリと私の動きは固まる。
一番最初に言うことがそれですか。
マルフォイ先輩だってそこまで常識のない人じゃなかったです。それになんだかんだ言って私たちには優しくしてくれたし…。あ、でも思ったより世話好きでちょっとうっとおしかったです。


『私は、んむっ、「先輩、こいつは純血です。では失礼します。」


ムカついて私は純血じゃない!と勢いよく言おうとしたら誰かに口を抑えられた。
それから、先輩は驚いたような顔になってから、ふんっと鼻で笑った。
むーかーつーくーでーすー!

その誰かに引っ張られながら私はズルズルと人の少ないところに座らせられた。


『なに、するですか!』
「なにって、馬鹿じゃないのか!あそこで僕が止めなかったら、君は先輩に目を付けられてたぞ!」
『、ドラコに関係ないです。ドラコだって純血じゃない人は嫌いじゃないですか。』


私の口を抑えたドラコを警戒するように言う。
それから、プイと目を逸らした。


「…確かに僕は穢れた血もマグルも嫌いだ。でも、僕の話を嫌そうな顔をしないで聞くやつは好きだ。それにナマエは僕がマルフォイ家とか関係なしでいてくれる。」
『…それがなんです?』
「だから!僕は、ナマエとは友達になりたいと思ったんだ!」


はた、とドラコをじーっと見る。
じーっと見てたら途中でドラコは顔を赤くしてたけど、それはスルーです。


『…私、ドラコ嫌いじゃないです。これからよろしくです。』


にっこり笑ってドラコに握手を求めた。
ドラコも顔を赤くしながら握手を返してくれたから、嬉しかったです。


「そういえば、お前はここで自分が穢れた血だって言うなよ。」
『?だいじょぶですよー。もし先輩が私に突っかかってきたら返り討ち……じゃなくて、話し合いで仲直りしますです!』
「(今、返り討ちって言わなかったか?)」


前世でも、私もセブルスも半純血だったから先輩に目をつけられてたんだよね。
その度に先輩を返り討ちにしてたことを思い出して、クスリと笑った。


「名前がマルフォイと喋って笑ってる……」
「ハリー?!君のフォークがありえない方向に曲がってるよ?!」
「あぁ、ロン。気にしないで。僕も先生に怒られないくらいにするから。」
「なにをする気?!」


笑い合ってる私とドラコを見ながらハリーがどんどん黒くなっていったのは私は知らない。てゆか、知りたくないです。


私が野菜だけもしゃもしゃと食べていると、ドラコが呆れたようにバランス良く食べろ、とお肉を私のお皿に入れたのを見て、ドラコのことがマルフォイ先輩二号だ…!と思ったのは秘密です。でも、マルフォイ先輩よりもドラコの方がいいこで好きです。マルフォイ先輩は嫌味めんどくさいです。



ちなみに、私の椅子に乗れなかった事件は後のホグワーツでの組分けの時に毎回話題にされることを私はまだ知らない。
さらに、その事件で私は変人だと思われ人と距離を作られたことをまだ知らない。


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