『ダドリー、そんな顔しないでほしいです。』
「だって!今日からナマエもハリーもいなくなるんだよ?!ぼくはどうやって過ごしたらいいの!?」
「一人で過ごせばいいんじゃない?」
「ハリーひどい!」
『………もうそろそろ行かなくちゃです。』
「ナマエもぼくを見捨てるの?!」


あぁもう!これが世間でいうカオスなんですか!

私の目の前には顔から出すもの全部出して大泣きしているダドリーの姿。
隣にいるハリーはそんなダドリーを生ゴミでも見るような目で見ている。

ハリーの誕生日から一ヶ月と一日、私とハリーはキングス・クロス駅にいた。
ちなみに、青年に半分押し付けられる形でもらったふくろうにはレインと名付けて私の相棒になった。レインは私の前前世の名前が慈雨だからその名前の雨をとってレイン。前世では動物を飼ってなかったから初めての相棒になる。
それにちょっとだけワクワクしてるのは秘密です。


「やっぱりぼくも行くぅぅう!!!」


そんなことを考えていたらすっごい大きな金切り声にハッと意識を現実に戻した。
現実逃避っていうのは難しいです。


「ダドリー、そんな無茶言わないでよ。ペチュニアおばさんたちが怒るに決まってるよ。」
「だって!」
『私があげた便箋があるです。それでたーくさん手紙書いてくださいです。私たちもちゃんと手紙返しますですよ?』


私はそう言って背伸びをしながらダドリーの頭を撫でる。レインがなんか鳴いてたけど知らないです。てゆか、レインとダドリーは中が悪すぎです。


「うっうっ、本当?」
『本当です。ね、ハリー。』
「ナマエが言うなら。」
「ナマエ……!大好きだよ!」
『はいはいです。』


抱きついてくるダドリーにも慣れた私はダドリーの背中に自分の手を回すとダドリーの背中をぽんぽんと撫でた。
そしたら、さらにダドリーの力が強くなったけど、まあ、許すです。私は。
だから、そのダドリーに対して真っ黒い微笑みを見せてるハリーはスルーするですよ。ダドリーを睨んでるレインも無視するです。

ペチュニア叔母さんたちは私のお母さんにいろいろ怒られてたです。ほら、この前逃げたのまだお母さん怒ってるですよ。


『じゃあ、ダドリー私たちもう行くです。』
「…本当に行くの?」
「行くよ。そんな泣かないでよ。僕たちと一生会えないわけじゃないんだから。」
『そうですよ!ハリーの言う通りです。クリスマス休暇は帰ってこないですけど、その次の長期休暇は帰ってきますです!』


本当はクリスマス休暇も帰って来たかったですけど、それはバーノンおじさんたちが嫌だと言ったので帰ってこないことにした。
本当は私の家に帰ってもいいですけど、バーノンおじさんたちも考える時間が必要だと思うから、それはやめておいた。

私の言葉にダドリーはしょぼんと俯く。


「…パパとママがごめんね。」
「別に気にしてないよ。」
『そうです。それにバーノンおじさんたちも考える必要です。それにあんまり酷かったら私のお母さんが黙ってないです!』


にっこりと私が笑ったらハリーもダドリーも笑ってくれたのでよかったです。


そんな感じでダドリーと別れると、私たちは九と四分の三番線を探す。
ちなみにハリーの荷物はとっても多そうだけど、私の荷物は縮小魔法によって小さくコンパクトにしてるので、あんまり多そうには思えない。でも、多分ハリーより荷物が多いと思う。だって私の荷物の中、便利な魔法薬とか入ってるです。


「どこにあるんだろう…」
『見つからないですね。』


それにしても、ハリーは九と四分の三番線が見つからないらしい。私は知ってるけど、それを言ったら怪しまれちゃうですから秘密なのです。


「…マグルで混み合ってるわね。当然だけど…」


キョロキョロと探していると、後ろからそんな声が聞こえてきたので、私たちは急いで振り返る。
すると、ふっくらしたおばさんと赤毛の男の子が四人と小さな女の子が一人いた。
男の子四人はハリーと同じようにトランクを押しながら歩いている。

赤毛でそばかす……あぁ、ウィーズリー家ですね。確かハリーのお友達もこの家にいた気がするです。


「ナマエ、きっとあの人たちも僕たちと同じだよ。ついていこう。」
『賛成です!…ホグワーツ、楽しみです。』
「そうだね。…どうせならナマエと同じ寮がいいな。」


そんなハリーの言葉は聞こえない振りをした。
だって私がスリザリンになるのは絶対だと思うですから。

一番年上らしい男の子がプラットホームの【9】と【10】に向かって進んでいった。
それから、双子の男の子が順番に同じように向かうと影も形もなく消えた。


「…聞きに行こうか。」
『そう、ですね。』


私とハリーはふっくらしたおばさんの元へ向かう。


「『すみません。』」
「あら?こんにちわ。二人はホグワーツへは初めて?ロンもそうなのよ。」


私たちが話しかけるとおばさんは最後に残った男の子を指さした。
その男の子はやっぱり赤髪でそばかすだらけだった。
なんだろ?ウィーズリー家はみんなそうなるのかな?
そんなことを考えている間にハリーはどうやってプラットホームに行くか聞いていた。


「心配しなくていいのよ。九番と十番の間の柵に向かって真っ直ぐに歩けばいいの。立ち止まったり、ぶつかるんじゃないかって怖がったりしないこと、これが大切よ。怖かったら少し走るといいわ。さあ、ロンの前に行って」
「うーん…オーケー」


ハリーはそう言って私ごとロンの前に行かせようとする。
それをにっこり笑ってハリーの手を遮る。


『ハリー、私は最後でいいです。先に行ってくださいです。ね?』
「え…一人で大丈夫?」
『はいです。』


私がそう言うとハリーは渋々といった様子で私とロンの前に行くとカートにしがみつくようにしてハリーは突進した。
それからすぐにハリーは消えた。


『えーっと、ロンくんですよね?お先にどうぞです。』
「いいの?」
『はいです。また、会えるといいですね!』
「!そうだね。じゃあ、またホグワーツで。」


そう言ってにっこり笑うとロンはハリーと同じようにプラットホームへと消えた。


『さて、久しぶりのホグワーツです。ふふ、セブルスに逢うのが楽しみですね。』


クスクスと笑うと私もまた二人と同じようにプラットホームへと消えた。


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