『…久しぶりのダイアゴン横丁です……』



私の目の前に広がる懐かしい風景に心がふわりと軽くなる。

今日は七月三十一日。
ハリーの誕生日でハリーが自分の運命知った日。
やっぱりバーノン叔父さんのペチュニア叔母さんはハリーが魔法使いっていうのが嫌で、何処か(きっと原作で見た孤島)に行ってしまった。
それをお母さんに言ったら笑いながら真っ黒いオーラを放って怒っていたから、バーノン叔父さんたち後で怒られるです。

そんなことを考えながらダイアゴン横丁をフラフラと歩く。ちなみに、ダイアゴン横丁に来るまで私の肩に乗っていたふくろうは、ここに着いた途端に何処かに飛んで行ってしまった。
あのふくろうは一体全体なんだったんですか。不思議でたまりませんです。


『と、最初に杖買っちゃわないとです。』


ふくろうのことを考えながら歩いていると、思わずオリバンダー店を通り過ぎちゃったので慌てて戻る。
杖、かぁ…そういえば、前世で使ってた杖はどうなったんだろ?
保護呪文をいろいろ複雑にかけといたから折れてはないはず、なんだけど…

チリンチリンとベルが鳴ったのを耳にして中に入る。


「いらっしゃいませ」
『こんにちわでーす……』


最初は誰もいなかったはずの部屋に柔らかな声が響いた。それに私も声を返す。


「君は新入生かな?」
『はいです。杖を買いに来たです。』
「そうか、そうか。君の名前は?」
『リンドウ、ナマエです。ファミリーネームがナマエです。』


オリバンダーさんは銀色の瞳を細めながら、私を見る。それから、私が最初に来た時も同じような反応をしていたことを思い出して私も目を細めた。


「…では、これをお試しください。楓と一角獣のたてがみ。三十センチ。」


そう言ってオリバンダーさんの差し出した杖を持ち腕を振り上げる。
すると、思いっきり窓ガラスが割れてしまった。


『………ごめんなさいです』
「いやいや、気にすることはない。必ずピッタリ合うのをお探ししますのでな。」


それから何本も何本も杖を振る。それはもう、何回やったら合うのが見つかるんですかってくらいに。
だんだんと数えるのもめんどくさくなってきた頃、ようやく前世の私が使っていたものが出てきた。


『……、』
「なかなか難しい客じゃの。こんなに難しい客はあの子以来じゃ。……さて、次はこれじゃ。桜の木に妖精の羽根とドラゴンの心臓の琴線、二十一センチ。」


それを優しく手に取るとふにゃりと笑う。
それは再びこの杖に出逢えたことへの喜びから。
私の手にしっくりと来る杖を一振りすれば、思った通り今まで私が杖を振ったせいでぐちゃぐちゃになっていたお店は元に戻った。


「おお…!まことに不思議じゃな。君に渡したその杖は昔、偉大な魔法使いが使っていたものじゃ。その杖の持ち主が【名前を言ってはいけないあの人】に殺された時から、その杖は沈黙を守っていたんじゃがのう。不思議なこともあるもんだ。その杖がまた持ち主を選ぶとは!」


そう言ってなにやら喜んでるオリバンダーさんに苦笑い。
だって、その【偉大な魔法使い】ってきっと前世の私のことです。
私が死んだ後、自分がそんな扱いになっているとは思わなかったのでちょっとだけ顔を赤く染める。


『あ、ありがとうございますです。あの!お代は?』
「お代なんていらないさ!今日は偉大なる魔法使いの杖がまた持ち主を選んだ素晴らしい日じゃ!不思議な体験と素晴らしい体験をありがとう、ミセス.ナマエ。君もきっと偉大なる魔法使いになるだろう。」


とっても嬉しそうに笑うオリバンダーさんに私も笑顔を向け、私はお店を出た。
それにしても、杖がタダってラッキーです。なんか得した気分です。

ルンルンとしながら次の買い物、制服が売っているお店へ私は向かった。
あ、ハリーの誕生日プレゼントも買わなくちゃです!
そんな感じで次々に頭に思い浮かぶ出来事に思いを馳せているとドスンと誰かにぶつかった。


『…いたい、で、す、?』
「あぁ、すまない。」


当然、日本人で身体も普通の日本人より発育の悪い私は尻餅をつく。
若干、涙目になりながら相手を見てみればそこにいたのは、


「さぁ、お手をどうぞ。小さなお嬢さん?」


私が前世で、最も苦手としていた【例のあの人】に付き従うルシウス・マルフォイだった。

……最悪です。


『ありがとうです。でも、私は一人で起き上がれるので心配はいらないです。』
「そうか。」
「パパ!」


と、ここでマルフォイ先輩の息子さんらしき人が登場してしまった。
あぁ、嫌な予感しかしないです…


「パパ、この子は誰?」
「あぁ、ついさっきぶつかってしまってね。本当に大丈夫かい?」
『大丈夫です。私、急いでるのでこれで失礼しますです。』


パンパンとお尻についた土を払いながらマルフォイ先輩とその息子に話す。
すると、マルフォイ先輩ジュニアが私の前に来た。


「…君もホグワーツに行くのかい?」
『…そうです。』
「そうか、僕もなんだ。」


…あぁ、そうですかとしか言えないですけど、なんて返せばいいです?それになんで顔を赤くするんです?


「仲良くなれるといいな。」
『…ソウデスネー。』
「はは、私の息子もそんな年か。」
「パパ!変なこと言わないでよ!…僕はドラコ・マルフォイ。君は?」
『…ナマエ・リンドウです。』
「君もスリザリンだといいな。」
『……ソウデスネー』


セリフが棒読みがなのは許して欲しいと思ったです。まる。
てゆうか、私はきっとスリザリンです。
君のお父さんとは先輩後輩の仲でした。

……今からホグワーツが怖いです。


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