賢者の石編


パチリと目が覚めた。
ふくろうは相変わらず私の腕の中で寝てた。
このふくろう人懐っこいなー、なんてことを考えながらそっとふくろうから離れてベッドから起き上がると、うーんと背伸びをする。
窓を開けるともう日が登ってた。


『ハリーのとこ行かないとですねー。』


くぁ、とあくびをしながら指をクルクルと回すと私はパジャマから普段着になる。それから私は階段を下りた。
私が階段を下りていると、また肩に何か重み。それにチラリと肩を見ると、またふくろうが私の肩に乗っていた。

それに不思議に思いつつ、特に違和感も悪い気もないので放っておくことにした。
なんか可愛いですし。

そんなことを考えながら階段を下りてお母さんにおはようと挨拶をする。


「おはよう。ね、ホグワーツのお買い物にはいつ行くのかしら?」
『んっと、ハリーの誕生日が終わってから行くです。』
「ふふ、わかったわ。ハリーたちのところに行くんでしょう?ハリーたちによろしくね。」
『はーいです。』


ふんわりと笑うお母さんに私もまたふにゃりと笑うと私は玄関の扉を開けた。

私のお母さんはとってもおっとりとした綺麗な人。世間では天然だと言われる人かもしれない。私が魔法を使えるって言ったときも「あらあら、すごいわねぇ。」で済ましてしまった。
お父さんは私が五歳の頃、事故で死んじゃった。お母さんはそれから女手一つで私のことを育ててきてくれたのだから、すごい人だと思う。天然ボケだけど。天然ボケだけど。

私はというと、人生三回目。
一番最初の人生で、イジメられて自殺した気がするけどよく覚えてない。まあ、そこでこの世界の小説があったことに感謝。
二回目の人生は、ハリーの両親と親友だった。だから、私は命を投げ出してまで小説の内容を変えたのだけど、それは意味なかったらしい。現に、ハリーは原作通りダーズリー一家に引き取られている。
あ、でもレギュラスはどうだろう。レギュラスが飲み干すはずだったスリザリンのロケットの入った水盆の毒液には魔法かけておいたんだけどな。ちょっと舐めたら甘い水になってたから大丈夫だとは思うけど。それに、亡者は出てこないように保護呪文を洞窟全体にかけておいた。【例のあの人】には見つからないように。だから、レギュラスが【例のあの人】に見つかってない限りは生きてると思う。

そんなことを考えながら歩いていると、ハリーの家に着いた。
トントンと扉を叩こうとすると、それより前にハリーが出てきた。


「おはよう、ナマエ」
『あれー?なんで気付いたですか?』
「ナマエのことだからね。」


そう言ってクシャリと笑うハリーに私もクスリと笑う。
すると、奥の方からドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。


「ナマエ!」
『ダドリーもおはようです。』
「おはよう!今日はなにして遊ぼうか!」
「ダドリーはナマエに抱き付きすぎだよ。」
「ハリーも抱きつけばいいだろ?」


私そっちのけで話す二人も慣れたことなのでそのまま放置。
ハリーとダドリー、二人で私に抱き付いたら私が潰れちゃうと思うですよ。そこを分かっててダドリーは言ってるですか。


『あ、私ハリーに聞きたいことあったです。』
「ん?なに?」
「それよりも早くぼくの部屋行かない?」


そう言うダドリーにハリーと顔を合わせて苦笑。
ダドリーはせっかちさんです。
そんな私とハリーを見てダドリーはムスッとしていたようだったけど、私がニコニコしながら早く上に行こうと促せば、ダドリーはすぐに機嫌を直してダドリーの部屋へ案内してくれた。
バーノン叔父さんたちは何処かに出掛けていて二人でお留守しているらしく、家には誰もいなかった。


「そういえば、さっきからそのフクロウ、ぼくのこと睨んでくるんだけど。」


ダドリーの部屋についてベッドの上に座ると、ダドリーがジッとふくろうを見ながらそう言った。
ちなみに、ふくろうはというと私の膝の上に乗って撫でてと言わんばかりに私の手のひらに擦り寄ってくる。


『でも、このふくろうは人懐こいフクロウですよ?ダドリーの気のせいじゃいですか?』
「うーん…」


私がそう言うとダドリーは唸りながらふくろうと睨み合いをする。
それにちょっと呆れつつ、ハリーの方を見るとハリーも私を見ていてバッチリと目が合った。


「あ、ナマエなにか僕に聞きたいことあるって言ってたよね?」
『あ…忘れてたです。ハリーのとこにこう、なんか手紙来なかったですか?』
「あぁ。来たよ。…バーノン叔父さんに破られてしまったけど。」
『…ソウデスカー』


破られてしまった、と笑いながら話すハリーは目が笑ってなくてとても怖かったです。
今まで話を聞いていなかったダドリーとふくろうもハリーの真っ黒いオーラを感じたのかブルブルと二人して震えてた。

なんだ。なんだかんだ言ってダドリーとフクロウは仲良しです。安心したです。

思わず関係ないことを考えてしまうほど、ハリーのオーラは恐怖だったです。


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