泡沫の人魚姫 19


『とゆーわけで、これから白ひげ海賊団にお世話になることになりました名前です。よろしくお願いしますねぇ?』


たくさんの人が私を見る中で、漆黒の髪を揺らしながら、私は笑顔でお辞儀した。


「名前ーっ!」


最初は私に遠慮していた方々が懐かしい。


『エースさぁん、抱き着かないでくださいって、言ってますよねぇ?馬鹿なんですかぁ?』
「な、な、俺と飯食おうぜ!あ、俺の部屋に来てもいいぜ!」
『無視ですかぁ?てゆか、部屋で食事なんて…』
「?飯食うわけじゃねぇよ?」
『……では、なにを…』
「名前を食『ステューピファイ【麻痺せよ】』


…変態は捨てきたはずなんですどねぇ……
ここにも変態がいましたか…

痺れて倒れたエースさんを、足でグリグリと踏み付ける。
エースさんは船長でもないので、遠慮はしませんよぅ。シャンクスさんは一応、あれでも、赤髪海賊団の船長ですからねぇ。


「名前…」
『あらぁ?マルコさん、どうかしましたかぁ?』
「いや…エースを離してやったらどうだ?」


私に話しかけてきたマルコさんに、にっこりと笑顔を見せる。
エースさんを見るマルコさんの目には哀れみが込められていました。


『ふふ。変態はこんなことしても、負けないから大丈夫ですよぉ。』
「………」


マルコさんの見る目が引いてたとか気にしません。
セクハラが許されるのは、三度だけですよぉ。
仏の顔も三度までって言いますしねぇ。


『あ、そういえば、お父さんに呼ばれてたんでしたぁ。エースさん、今度セクハラなんてしたら、海に落としますからねぇ?』


痺れて話せないエースさんをにっこりと笑顔で踏みつけてから、私はお父さんのところに向かった。

変態なんて、この世から滅んでしまえばいいんですよぉ。





コンコンとノックをしてお父さんの部屋に入る。
いつ見ても、やっぱり白ひげさんはでかいですねぇ。そういえば、漫画でも大きかったですよねぇ、懐かしい。


『お父さん、どうかしましたかぁ?』
「おう、来たか。」
『ふふ、お父さんのお願いですからねぇ。』
「嬉しいこと言ってくれんじゃねえか。」


ニヤリと笑ったお父さんにグリグリと頭を撫でられる。
ああ、変態ばかり相手にしてると、こういう普通の行為が癒しに感じますねぇ。


「そういやぁ、おまえ一回ネプチューンのところに帰ったらどうだァ?心配してるだろ?」
『またその話ですかぁ?何度も言ってる通り、私が今あっちに帰ったら、離してもらえないんですよぉ』


お父さんの膝に抱っこされながら、想像する。
ルカ曰く、しらほしは私がいなくなって、すごい取り乱してたみたいですし、今帰ったらしらほし同様、私も監禁されちゃうんですよねぇ。てゆーか、しらほしが私を離すとは思えませんし。シスコンなんですよねぇ、あの子。

シスコンなしらほしを思い出して、思わずため息。
別に嫌いではありませんけど、重いんですよねぇ、愛が。


『とりあえず、充分に外の世界を楽しんでから、家には戻りますから、心配しないでくださいよぅ。なので、引き続きジンベイにも、秘密にしといてくださいねぇ』


お父さんの大きな手をいじりながら、ニコニコ笑ってそう言った。

とりあえずはサッチさんのことも護らなくちゃいけませんしねぇ。

なんて、心の中で付け足して。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -