泡沫の人魚姫 12


「名前!無事か?!!」
『無事ですよぉ。心配してくださってありがとうございまぁす。』


私が帰った途端に、心配そうに私を見つめるシャンクスさんににっこりと笑ってお礼を言う。
すると、何故かシャンクスさんは下を見つめてブルブルと震え始めた。
え、なんでですかぁ?私、変なこと言いましたぁ?


「名前ラブ!」
『どこの情報屋さんですかぁ。馬鹿なんですかぁ?』
「おい、名前。頭はほっといてあいつらに説明してやれ。」
「ベン!俺をほっとくってどういうことだよ!」


ベンさんが首で示す先には今だにポカンと大口を開けながら空を見てる船員のみんな(え?シャンクスさんですかぁ?無視ですよぅ。無視ですぅ。)
どうしましょ……ベンさんとシャンクスさんは私を受け入れてくださいましたけど、他の人は私を受け入れてくれないかもしれない……

あぁ、なんでしょう。今さらなのに、とっても恐くなってきましたぁ……

いつの時代も異常は差別されるもの。
サラザールの言葉は本当のことなのかもしれませねぇ。

ちょっとだけ震えている体に気付いて思わず苦笑いした。
すると、私の体が何かにふわりと包まれた。


「大丈夫、大丈夫だ。」
『へ、』
「あいつらが受け入れてくれねぇときは、俺が説明してやるよ。…それでも受け入れてもらえなくても、俺が受け入れてやるから。」


そう言って私を抱きしめるのはシャンクスさん。
シャンクスさんに慰められるなんて…

変態に慰められるなんてなんだか悔しいですねぇ。


『シャンクスさん、どさくさに紛れて私に抱きつかないでくださぁい。』
「ちょ、名前?!つれなさすぎだろ??!!」
『なんのことですかぁ?私、他のみなさんに説明してきますのでぇ。』


シャンクスさんの腕から抜けると私は今だに口を開けているみんなの元に走った。


『えっと、あのぅ、』
「!名前ちゃん!さっきのなんだ?!」「お前すごかったんだなぁ、」「つか、やばくね?俺らより強くね?」「実は悪魔の実の能力者?!」
『ぇ、違いますよぉ、えっと、魔法ですぅ、』
「マジか!魔法使いか!」「すっげー!俺、初めて魔法使い見たわ!」「え、じゃぁ、モノを浮かせたり出来るのか?!」「名前ちゃんって人魚で魔法使いとかすげぇな!」
『……えぃっ、』
「うおぉぉお!!!!すげぇぇえ!!!!!」「え、ずりぃぞ!!!!俺も浮かせてくれ!!!!!」「え、ちょ、俺浮いてるぅぅぅう!!!!!!」「マジで楽しそう!!!やべぇ!!!!」「俺も浮かせてもらいてえ!!!!」


…なんだか、私の考えすぎだったみたいですねぇ。
私、馬鹿みたいですぅ…


『私、みなさんに買ってもらえてよかったですぅ』
「買ったとか言うなって!」「そうだ、そうだ!もう名前ちゃんは俺たちの仲間なんだからな!」
『!……みなさんだぁいすきですぅ。』


にっこりと笑顔で告白した。
あぁ、でもなんだかんだ言って一番好きなのは、


「てめぇぇえらぁぁあ!!!なんで俺より先に愛の告白されてんだよぉぉお!!!ずりぃぃい!!!」
「うわっ、お頭鼻水拭いてこいよ!」
「そんな泣くほどのことか?」
「つか、やっぱりお頭ってロリコンじゃね?」
「俺はロリコンじゃねぇぇぇえ!!!!」


シャンクスさんっていうのは秘密ですよぅ。


「名前、」
『あれ?ベンさん?ベンさんも大好きですよぉ。』
「ふっ…お頭には言ってやらねぇのか。」
『ふふ…シャンクスさんにはあれくらいがちょうどいいんですよぉ。それに、ちゃんと後でお礼言いますよぅ?』
「素直じゃなぇな。」
『…私は素直ですよぅ。』


なんだかベンさんにはお見通しな気がしましたぁ。
変態にお礼言うのは悔しいんですよぉ。


おまけ
〜二人の寝室にて〜

『シャンクスさん、シャンクスさん、』
「……なんだ?」
『(あ、いじやけてますぅ。)さっきはありがとうございましたぁ。私、シャンクスさんがなんだかんだで一番好きですよぅ。』
「……!名前!!俺も名前が一番好きだからな!!!…あ、勃っ『ステューピファイ【痺れよ】』


前言撤回しましょうか、変態。

すいませんでした



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