泰然自若 3


景吾に言われた通りに生徒会室で景吾を待つ。

ぶっちゃけとってもヒマ。
いや、だってここなんもないんだもん。
ヒマすぎるので生徒会長の椅子に座ってくるくる遊ぶことにした。


『なにこれ。楽しすぎる。』


意外と面白かった。
ニコニコ(というよりニヤニヤ)しながら私が遊んでいると、扉からため息が聞こえた。


「お前は…」
『あ、景吾。遅かったねー』
「だからって…」

遊ぶなよ…

景吾は呆れたようにため息をつく。
いや、ため息つきすぎだよ!
私、お姉さんだから!(精神的に)


『でー?景吾どうしたの?』
「あぁ。話なんだがあいがこっちに来るらしい。」
『え?マジ…?』
「本当だ。」


景吾がその言葉を言った途端に私は立ち上がってバンザイのポーズをする。
きゃっほーい!!!!!!
私の!あいちゃんに久々に会える!!!!!!


「ただし、」
『ん?』
「あいは埼玉の春日部の幼稚園に通うらしいがな。」
『なんで?!じゃあ、私も春日部の中学に通うから!!!!!チャオ!』
「ふざけんな。」


私が片手をあげて生徒会室から出て行こうとする前に景吾に首を掴まれて止められた。

ちっ、景吾め。後で覚えてろよ!


『なんでよー。私はあいちゃんとラブラブするのー。』
「……俺とラブラブすればいいじゃねぇか。」
『え?やだよ。てか、景吾がラブラブとか言うと笑える!』


私の言葉に景吾は泣きそうにふにゃっと顔を崩す。


『うわっ、うそうそ!なんで泣きそうになってるんだ!ちょっ、ね?私、景吾くん大好き!だから、泣かないでねー?』
「お、俺様が泣くわけねぇだろ!ふ、ふん!名前が俺様のこと好きなんて知ってんだよ!」


うちの景吾は二人きりになるとヘタレます。
なんで、こんなことになったのか。
私の育て方?育て方が悪かったの?
あ、でもたまにセクハラっこになるや。
だめだこりゃー。


『うん、まあいいんだけど。で、なんで私が埼玉に引越しちゃだめなの?私、あいちゃんと暮らしたいんだけど!!!!』
「お前は俺様と暮らすんだろうが!!」
『じゃあ、私は埼玉に行くけど氷帝からは引っ越さない!これでどうだ!!』


うん!私はこれでも譲歩したぞ!
だってあいちゃんと同じ国にいるのに一緒にいられないなんて考えられない!


「ダメだ!!!」
『じゃあ、どうしたらいいのさ!』
「まず、送り迎えは俺様の家でやる。」
『マジ?ありがとー!』
「で、テニス部のマネージャーやるんだったら許してやる」


なんだ、と…、?
ここに来てまさかのマネージャーフラグだと…?


『やだよ!めんどくさい!』
「ほう…じゃあ、あいと一緒に暮らさなくていいんだよなぁ?アーン?」


そう言ってニヤリと笑う景吾はモロ悪者。
なんか殺人起こしてそうな顔してるよ。
そして睨みあうこと何分か。とうとう私が折れた。
だいたい私が景吾の眼力に敵うわけがない。


『うぅ…朝練行かなくてもいいならいいよ……』
「まあいいだろう。」


そう言って満足そうに笑う景吾をぶん殴りたいと思ったのは私だけの秘密である。


prev next

bkm
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -