ホイヘンスの原理 12


凪Side

私には幼い頃から大切で、大好きで宝物のような幼馴染がいる。
その幼馴染ーー名前は女の子だけど、それでも私は名前を恋愛対象として見てる。

諦めよう、って何度も思った。
けど、名前の顔を合わせるたびに想いは募る一方で、最近では名前と付き合えなくてもいいからずっと一緒にいたいっていう気持ちになった。
別に名前が私のことを恋愛対象として見てくれなくてもいいの。
ただ、ずっとずっと一緒にいて欲しい。

私は幼い頃から両親に愛されていなかった。
一人だった私を救ってくれたのは名前。
愛してくれたのも名前。私に信頼をくれたのも私に喜びをくれたのも、全部全部名前だった。

名前には友達がいない。それは名前の前世のせいなのか名前自身の性格のせいなのかわからない。でも、それは私にとても都合がよかった。
だって私が名前のこと独占できるもの。
だから、違う中学校でも大丈夫だって安心してたのに…

ギリと思わず下唇を噛む。


『なーぎー?』
ボソッ「……絶対、絶対に名前は渡さないんだから…」
『?聞こえない……』


どこの馬の骨だかわからないやつに私の名前は渡さない。
名前はずっと私と一緒にいるんだから。

名前を膝に乗せながら私は強く決意を固めた。



名前Side


凪とラブラブと遊んだ次の日の朝。
私はあげはと戦っていた。


『やーだー!行きたくなーい!』
「ーー!」


布団の中から出ない私をあげはが引っ張る。
私もそんなあげはに抵抗するように布団を負けじと引っ張る。
私は行きたくないって言ってるのに!


『やだやだ!行かないもん!あげはの馬鹿ぁぁあ!』
「ーー、」ブチッ


おりょ?なんかキレる音したよ?


「ーー!ーーー、!」
「ーー?」
『?』


あげはと蓮が何か話してるのを私は警戒しながら見る。
あげはが怒ってる気がするのは気のせいかなぁ?
あげはが蓮に何か言うと、何故か蓮がいきなりバシャーモになり私に近づいてきた。


「ーー!」
『ふぉ!うわぁぁあん!!ごめんなさぃぃい!!行く、学校行くから許してぇぇえ!!』


そして、蓮は私の身体を軽々と持ち上げるとグルグルと私の身体を回す。
うっうっ、あげはの意地悪!絶対あげはの命令だ!
あげはをじーっと睨みつけると、あげはは私の洋服棚から制服を取り出して私に学校に行かせる気満々だった。

……あれ?私ってトレーナーだよね?なんで私が子どもみたいな扱い受けてるんだ!
頭の中でそんなことを考えていると、目があったあげはに鼻で笑われた気がした。

…涙が止まらないのは気のせいだよ!



あげはに無理矢理家から追い出されると、私はとぼとぼと歩きながら学校に向かった。

あぁ、行きたくないよぅ。

私のそんな気持ちとは裏腹にすぐに学校に着いてしまった。

学校に着いてすぐに屋上に向かう。
もちろん、恭弥には会わないように細心の注意をはらって。


「ひーちゃん!」
『ひゃぁっ、』
「そんなに急いでどうしたのっ?」
『な、なななな内藤く、』


そろりそろりと慎重に歩いていると、後ろから抱き締められた。

び、びっくりしたじゃないか!


『離せ馬鹿!!!!!』
「またまた〜、ひーちゃんはツンデレなんだから☆」
『〜〜〜っ、ツンデレじゃないもん!馬鹿!』

ゴツンッ

離さない内藤くんにムカッときたので頭突きをかましてやった。そしたら、内藤くんの腕が緩んだのでその隙に私は走って屋上に向かった。

私は知らなかった。
私と内藤くんの絡みを見てる人がいたなんて…


「……付き合って、たのか、?」








prev next

bkm
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -