ホイヘンスの原理 11


雲雀Side

ジッと昨日名前が飛び出した扉を見る。

ガラッ

「委員ちょ、ガンッ
「ちゃんとノックしたから入って。草壁、あれ回収して。」


イライラする。
草壁にノックもしないで入ってきた奴を回収するように言うと、僕は見回りに行くことにした。

昨日、名前が見せてきた百点のテスト。
それを草壁に調べるように言うと、名前はふにゃりと顔を歪めて泣きそう、というか泣いてよくわからないことを言うと僕にでんじはを喰らわした。

その後、帰ってきた草壁に話を聞くと名前はいわゆる天才だったらしい。
僕は知らなかったけど、知ってる人は知っていたそうだ。

それにしたって、信じなかったのは悪いと思うけど泣かなくたっていいじゃないか。


「ギャハハハ!お前マジで?!」
「マジだっつーの!」


目の前には群れをなしてる草食動物。


ガツッ
「あがっ、」
「…なに群れてるの。咬み殺す。」
「ひっ、た、たすけて、」


名前の泣き顔を頭の中から掻き消すようにいつもよりも暴れた。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

『なーぎー』
「名前…可愛い…」
『?』


凪の太ももに頭を置いて膝枕の状態で凪の腰にぎゅーっと抱きつく。
恭弥と喧嘩した次の日、私は学校を休んで私の部屋で凪と一緒にいた。凪の学校は創立記念日で休みなんだって。
でも、頭の中には昨日の恭弥でいっぱいで、


『うー…』
「なんかあった…?」


ぽんぽんと私の頭を撫でながら優しく聞いてくれたる凪のお腹にさらに顔を埋める。
恭弥怒ってるかなぁ…
電磁波やっちゃったもんなぁ…


『あのね、友達が出来たの…』
「…友達?」
『うん。あ、ポケモンのことも知ってるよ!でもね、前世のことはやっぱり言えなくて…ちょっと喧嘩しちゃったんだぁ…』
「そう…名前は私とその友達どっちが大事…?」
『?ん、と凪だよ!!だって凪は私とずーっと一緒にいてくれてるもん!!!』


顔をあげてニコッと笑いながらそう答える。
そうすると、凪も微笑んでくれた。
一瞬、私を撫でる手が止まった気がしたけど気のせいだったみたい。


「名前…私も名前が一番好きで一番大切……」
『ふふー!そんなの知ってるよ!!!!私もだもん!!』


ぎゅーっと凪を抱き締めると凪も力を強めて私を抱き締めてくれた。


「ね…あげは達のことは知ってるの…?」
『うん!!!てゆかね、あげは達と屋上でほのぼのしてたらバレて、バトルして仲良くなったのー。あ、でもね、恭弥はあげは達のこと否定しないでくれたんだよ!!!!!』


私が抱き締められたまま凪にそう言うと、凪は私の体をバッと勢いよく離したかと思ったら絶望的な顔で私の顔を見つめた。


『?凪どーしたの?』
「男…?」
『?』
「その人男なの…!?」


はて、と凪の言葉に首を傾げる。


『?恭弥は男だよー!んっと、蓮と戦うんだ!強いんだよ!』
「(どうしよう……)」
『凪?なーぎー?どーしたのよー?』


そのあと、凪は当分心ここにあらずな感じで私を見ていた。


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