とゆーわけで!
向日先輩もとい岳人先輩と、打倒!夢見先輩!目標を掲げて学校に来た。
実はガクブルしてるけど、私頑張る。
だって荒川のみんなのためだもん!
教室に入ると、いろんな人からの視線が痛い。
女の子たちからの視線なんて、人一人殺せそうな威力あるもん。なんで、そんなに睨むんだろう。
「ねーぇ、猫渕さん?どうやってテニス部に媚び売ったのお?」
「それは言い過ぎだってぇ、絵里子。」
「あはは。だって、こんなモサイ子が媚び売らないでテニス部マネージャーになれるわけないじゃない!」
絵里子と呼ばれた女の子が、ジロジロと私を値打ちするように見る。
それに内心ビクビクしながら、唇をキュッと結んで泣かないように我慢する。
泣かない、泣いちゃダメ。泣いたら、ダメ。
そんなふうに自分に暗示をかけると、女の子たちをジッと見る。
「なによ、その目!」
『私、媚び、売ってない…』
「ッ!」
カタコトになっちゃったけど、しょうがない。
だって、恐いもん。化粧が濃くて、目力すごい。
でも、ここで頑張らなくちゃ。
ここで頑張らなくちゃ、私、ダメな子だもん!
「な、」
『私、頑張るから、マネージャーも、学校も、頑張る。』
「なによ!こいつ!絵里子、行きましょう!」
「え、ええ、」
女の子たちが私から離れていったとたん、シュルシュルと私の身体から力が抜ける。
こ、怖かったあああああああ!!!
なんであんな目力すごいのおおおお!!
私より年下なんて絶対嘘ッ!100%嘘だよ!
うわああああんんん!シスターあああマリアさんんん助けて欲しいよおおおお!!
心の中ではいろいろ限界。
岳人先輩、開始早々心がポッキリと折れそうです…
「猫渕さん、おはよう」
隣りからそんな声がして、ゆっくりと顔を横に向ける。
目に入ったのは、私がテニス部に入った原因とも言える人物。素直に挨拶はしたくない。
『おはよ、ございます』
「そんなイヤそうな顔しないでよ。」
爽やかに笑う鳳くんに好感は持てない。
なんか、この人恐いし。
「この前は本当にごめんね?無理矢理マネージャーやらせちゃったみたいで。」
『別に。』
恐い、この人も、恐い。
優しく言ってるのに、なんかイヤな空気がなんか。
前はそんなことなかった…気がする。
「…そういえば、今朝は向日先輩と来たんだね。」
『?』
「妬けるなあ。」
『うにゃっ、』
鳳くん、危険。
鳳くんの言葉に背筋がゾクリとした。
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bkm