蜜柑ちゃんが食糧調達して、なんか棗くんの話になったあと、ピヨが出てきたところまではいい。
いいけども。
『やだやだやだ!!!!!ぜーったい反対!!!!!!やだってゆーか無理!!!無理だから!!!!』
私は最大のピンチになっていた。
「で、でもピヨを傷付けずにするにはルカ君じゃないと…」
『だっ、でも、のぎっ……じゃなくて、流架くんと私がアレなのみんな知ってるじゃんかぁあ!!!!!』
私の言っている意味が分かる委員長は苦笑い。意味の分からない蜜柑ちゃんは頭に?を飛ばしてる。蛍ちゃんにいたってはいつも通りポーカーフェイス。
流架くんが関わってない時の私だったらみんなの表情に笑ってるところだけど、そうはいかない。
私は自他ともに認める愉快犯。
それは認める。
けどねぇ、私にだって苦手なものはあるだからぁぁあ!!!!!
「名前…」
『ほっ、蛍ちゃん……!』
ポンと崩れ落ちる私の肩を叩く蛍ちゃんにキラキラとした視線を向ける。
でも、私の願いが叶うことはなかった。
「私たちのために犠牲になって。」
『ですよねー!……うわぁぁぁぁああん!!!!』
蛍ちゃんはやっぱり蛍ちゃんだった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
今の私はウサミミ状態で放置されてる。
しかも、逃げられないように縛られてる。
『ひどい…ひどいすぎる!てゆうか、蛍ちゃんは写真撮るのらめぇぇえ!!!!』
理由は流架くんを捕まえるため。
それもこれも、私は何故だか流架くんのお気に入りのせい。
ええ。それはもう気に入られてるんだ。
だって私一回軟禁されかけたからね。
私のトラウマだよ!
ので、私は流架くんが恐い。
てか、あいつヤンデレすぎる。恐い。
「しょうがないじゃない。あんたの写真って結構売れるのよ。」
『そんなの嬉しくないし!てか、この写真買う人って絶対性癖歪んでるよ?!』
ウサミミが生えてる幼女の写真買うって…
そんな人いるなら逆に見てみたいわ!
そんなことをしてる間に流架くんの声が聞こえてきた。
あ、私の耳は今ウサギなので遠くの音までばっちしです。
「名前ーー!!」
…………あれ?
『いや、待って。委員長、委員長はどんな幻覚を流架くんに送ったの?』
流架くんが私の名前を呼びながらこっちに来た時点で嫌な予感しかしない私は委員長の目をジッと見ながら聞く。
「え、えっと、」
「あんたが泣きながら流架くんに助けを求めてる幻覚よ。」
『なんで蛍ちゃんが答えるの?!てか、それやばいよ??!!!蜜柑ちゃん助けて!!お願いだから助けて!!!!』
なんにも知らなそうな蜜柑ちゃんに助けを求める。
だって蛍ちゃんは明らか面白がってるし、委員長が蛍ちゃんに逆らえるとは思えない。
なら、蜜柑ちゃんしかいない!
「名前ちゃん!」
『助けてくれる?!』
「うち、蛍には逆らえないねん!」
『……ですよねー!』
たぶん、この時点で私は涙目だっただろう。
だって流架くんにはたくさん恐怖を刻まれたんだ。
てゆうか、流架くんは蜜柑ちゃん好きになるんじゃなかったの?ねぇ。
泣きながらそんなことを考えている間にも、流架くんの声と足音が大きくなってくる。
あぁあ!もうやばい!
笑えない、笑えないよ!
「名前!いた!」
『きゃぁぁあ!!!!』
あぁ、また私は恐怖を刻まれるのかと、覚悟を決めた瞬間。
ザザザ…!
「!?」
流架くんは落とし穴に落ちた。
「ご…ごめんね。流架君」
「!」
「まさかこんな手で本当に来るとはね…。どんだけ名前のこと好きなのよ。」
「そんな事よりはやく蛍っ委員長っ!」
バンッ
と三人が流架くんを縛ってる横で私は空を見ながら
『落とし穴ありがとう。切実にありがとう。ついでに神様ありがとう。愛してる。』
と、呟いていたのであった。
性格が変わったとか知らないんだから!
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bkm