それから二年後。
『シスターシスター!あのね、あのね、今日ね、あまぁい卵焼き食べたい!』
「あぁ、分かった。お弁当に入れといてやる。」
『やったー!シスターだぁいすき!』
私がシスターにそう言うと、シスターはふんわりと微笑みながら私の頭をその大きな手で撫でてくれた。
あれから私は変態さんことシスターの家で一緒に住んでいた。
シスターは変態さんじゃなかった。とっても料理が上手ないい人だった。
私が泣き喚いた時はずっと一緒にいてくれる。嬉しい時はいつもは無表情の顔を綻ばせて笑ってくれる。だぁいすき!
『あ!あのね、シスター!』
「ん?なんだ?」
『今度の三者面談は誰が来てくれるの?』
こて、と首を傾げながらシスターに聞く。
すると、シスターはちょっと悩んだ後、村長さんに聞いておく、と答えた。
さて高校を卒業し、精神年齢が二十歳になる私は今中学校に通っている。
とってもとっても嫌だけど、村長さんのお願いだから仕方なく通ってる。とってもとっても嫌だけど!
『あ、そういえばね、私今日ちょっと遅くなるねー』
「どうしたんだ?」
『なんかね、知らない人に呼び出されたー。』
「…あまり遅くはなるなよ。」
『うん!』
ニッコリ笑ってシスターに答えると、私はシスターの用意してくれた朝ごはんを食べ始めた。
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『じゃあ、行ってきまぁす!』
「あぁ。気を付けてな。」
『はぁい!』
テクテク、と河川敷を出る。
と、同時に学校に行くのがとても憂鬱だ。
なぜなら。
「おっ、名前じゃねぇか!」
『ひにゃっ、……って、向日先輩か…』
そこはテニプリの世界だから。
何の因果か村長さんが行け、と言った中学校は私がトリップする前によく読んでいたテニスの王子様の中学校だった。ちなみにライバル校。
しかもしかも、何故か知らないけどテニプリキャラである向日岳人とは知り合いになってしまった。
あーあー、やだなぁ。憂鬱だなぁー。
そんなことを考えながら向日先輩と一緒に歩く。
向日先輩がなんか話してるけどあんまり聞いてない。
『…ぁ、もうそろそろ学校だ。』
「そうだな!じゃあ、俺先に行くから!またな!」
『…さよなら。』
向日先輩にバイバイしてから私はため息をつく。
何を隠そう私は人見知りが激しい。
今だに向日先輩は慣れないから苦手なのであるよ。うむ。
一人でうんうん、と頷いてから私は氷帝学園への道のりをまた一歩踏み出した。
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bkm