『…ひっく…うにぃ……』
「落ち着いたかしら?」
マリアさんの言葉にコクリと頷く。
お家帰りたい…
「その、すまなかった…」
『やっ!』
「…………」
変態さんがこっちに来たのが分かったので私はプイッとマリアさんの胸の中に顔を埋める。
変態さん、やだ。
『マリアさん、私、帰りたい。』
「そうねぇ。ニノ、あの変態からにゃんこのカバンをとってきてくれるかしら。」
「おぉ!任せろ!」
ニノさんはそう言って私のカバンを持ってきてくれた。
私はマリアさんから離れてカバンをいじる。
『あ!!マリアさん!!見て見て!!私の生徒手帳!!私、高校生でしょ!!』
ジャーン!
と効果音を付けながら私は生徒手帳を持ってマリアさんに見せ付ける。
すると、マリアさんは顔を顰めた。
『?どうしたんですか?』
「貴女、幼くなってない?」
『そんなことないですよ?』
私がそう言うとマリアさんは神妙な顔をしてエプロンのポケットから手鏡を出す。
そして、それに私を写した。
『…へ?』
そこにいる私は、いつもよりずっと幼くて、
『な、なななななんで????!!!!!わ、わわたし髪長いのに短くなってりゅぅぅぅうううう!!!!!!!!』
「にゃんこ、落ち着いて。」
マリアさんが混乱した私の頭をなでなでする。
でも、私はそれどころじゃない。
だってだってだってだって!!!!
私、こんなに幼い顔じゃないもん!!!!
そんなふうに私が混乱していると、私のカバンからアンパン●ンマーチが流れた。
『?でんわ…?』
それは私の携帯から流れる音で、
私はマリアさんから離れて携帯を取り出すと迷わず通話ボタンを押す。
『もっ、もしもし?』
【やっぽーー!!!初めまして?初めましてだね!!俺は神様だよーん!!今日はnブチッ
『……ハッ!!思わず切っちゃった!!』
電話に出るととてもハイテンションで電波みたいな人の声が聞こえたので、怖くて思わず切っちゃった。
すると、またまた私の携帯が鳴り始める。
『そ、村長さん!!!出て下さい!!!!』
「まあ、いいけどよ。」
私は村長さんに携帯をパスしてマリアさんの背中に隠れる。
村長さんが携帯に出ると、最初はめんどくさそうに、でもだんだん村長さんの顔は険しくなっていった。
『?』
「これは、にゃんこが聞いた方がいい。」
村長さんはそう言って私に通話中の携帯を渡してくる。
私はそれをおそるおそる取ると耳に当てた。
『もっ、もしもしっ?!』
【あー!さっきは怖がらせてごめんね!ちょっとさぁ、こっちも急いでて!】
『あ…こっちこそごめんなさい?』
首を傾げて謝る。
なんだかこの人いい人そう。
【うん、それでねー君には悪いんだけど、これからそこに住んでもらうから。】
『………へっ?』
この人の言ってることが理解出来くて思わず変な声を出す。
だってここって、河川敷?
私、お家あるのに?
【んーまぁ、話すと長くなるんだけどさ、お前がいるとこ。そこって君の家ないんだよね。言っちゃえば、今君のいるとこは君から見たら異世界なワケ。で、さらに言えば君はもう一生元の世界には帰れないから!だから、そこに住めって!あ、あと君の身体が小さくなってんのは、世界を渡った代償な!ま、十二ってとこか。お金は毎月一千万、お前の通帳に入れとくからさ!そのお金で学校にでも行きなよ!】
ガンッと頭が鈍器で殴られたみたい。
私は持っていた携帯を落とす。
ポロポロと呆然としたまま涙が溢れる。
なんで、どうして、
グルグルとそんなことしか考えられない。
だって、家族は?私のお父さんとお母さんは?もう、逢えないの?
ボロボロ、涙は溢れ続ける。
村長さんが私の携帯を拾って変な人と話していたけど、それすらもどうでもいい。
帰りたい、帰りたい帰りたい。
すると、突然私の身体は何かに包まれた。
prev next
bkm