私が赤髪海賊団になってから、この海賊船は新世界には向かわずに未だグランドラインをうろちょろしていた。
「島だぁぁあ!!!島が見えたぞーー!!」
マストの上にいる男の人の声に洗濯をしていた手を止め、私は船の進行方向を見た。
私が海賊船に乗って海軍とかも襲って来なくて平和な一週間。
初めての島だった。
ちょっとだけワクワクしながらいつもより洗濯物を早く洗う。
島ですかぁ。ちょっとだけ楽しみですぅ。
「名前!」
『あれ?赤髪さんどうかしましたかぁ?』
ルンルンしながら洗濯物を洗っていると後ろから赤髪さんに抱きつかれた。
それもいつものことなので気にしない。
片腕で私に抱きつくなんて素晴らしい根性だと思います。
まあ、赤髪さんは真性のロリコンみたいですからねぇ。
「赤髪さんじゃなくてシャンクスって呼べって言ってるだろ!?」
『で、赤髪さんどうしたんですかぁ?』
「…オレの言葉を無視するのか?」
毎回言われてる言葉をスルーすると、赤髪さんの私を抱きしめる力が強くなった。
それにあ、不味いなと思い、私にしては大きな声でベンさんの名前を叫ぶ。
『ベンさぁん!赤髪さんが危険ですぅ!』
その言葉と同時にバァンッ、と射撃音。
音がした方を見るとベンさんが銃を片手に立っていた。
…やっぱりベンさんはイケメンですねぇ。
「おまっ、ベン!俺に当たったらどうすんだ!」
「当たらないようにはしてるから安心しろ。」
「そういう意味じゃねえだろ?!」
そんな二人のコント的内容に一つ、ため息を吐いてクルリと赤髪さんの方を向くと、赤髪さんの服の裾をクイと引っ張る。
すると、今までベンさんを映していた瞳が私を映した。
「なんだ?」
『赤髪さんは、私に何か用があって来たんじゃないですかぁ?』
必然的に上目遣いになりながら、キョトンと赤髪さんを見ると顔が真っ赤だった。
……おやまぁ。やっぱり赤髪さんはそっち系でしたかぁ。
でも、私は気にしません、気にしませんよぅ?
私がそんなことを考えていると、ガバぁと赤髪さんが私をさらに抱きしめてきた。
それにちょっと息苦しさを感じつつ、赤髪さんの腕の中で大人しくする。
片方の腕でもこんなに力が強いって…おかしいですよぅ。
ロリコンと一緒にいる時は、あんまり抵抗しないで大人しくしてた方が身の為なんですってぇ。
「あー!本当可愛いな!」
『で、なんの用ですかぁ?私、まだ洗濯物があるんですよぅ。』
「悪い、悪い。」
むすぅっとしながらそう言うと笑いながら謝ってきたのでそれにはぁーっと脱力する。
軽いです。軽過ぎますよぅ。
「それでな、島に一緒に行こうぜ!」
『……へ?わ、私島に行っていいんですかぁ?』
「?当たり前だろ!」
その言葉の意味を理解した途端、私の表情はだんだん笑顔になっていく。
島に行くのって何年振りでしょう?
生まれた時から行ってないから本当の本当に久しぶりですよぅ!
『シャンクスさん!ありがとうございまぁす!』
「〜〜〜〜〜っ!」
『わっ、』
にこぉ、とそれを言ったら押し倒されたので当分は赤髪さんって呼ぶことに決めましたぁ。
え?もちろんベンさんに助けてもらったので無事ですよぅ?
この日私は早く島に着かないかなぁ、とワクワクしながら眠りについたのでした。
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bkm