泡沫の人魚姫 5


「とゆーわけで、これから俺たちの仲間になるナマエだ!」
『ナマエですぅ。よろしくお願いしまぁす。』


たくさんのむさ苦しい男の人たちがいる中、ふにゃりと笑いながら挨拶をする。
ただ、何故か私の肩には赤髪さんの手が回されていてとても歩きづらいというか、なんというか。
でも、気にしたらダメだと思うんですよねぇ。


『あ、ちょっといいですかぁ?』
「ん?なんだ?」
『海に私の友達がいるんですよぉ。その子たちにちょっとした報告をしないといけないのでぇ。』


私はそう言って赤髪さんの手を私から離して海の方に近づく。


『(ルカ、ナツメ。)』
「「「「!う、うおぉおお!!!」」」」


パクパクと口を動かして、私の友達でもある彼らの名前を呼ぶ。
すると、出てきたのは青いイルカとウサギのような耳が付いている海王類。
外野がうるさいけどまあ、しょうがないですよねぇ。


《あれ?ナマエ?なんで海賊船に乗ってんの?もしかして捕まった?》
『(そんなわけないですよぅ、ルカ。ちょっとこの人たちの仲間になっただけでぇす。)』
《ナマエが海賊??!!だ、大丈夫なの?!も、もしかして脅されたの??!!!》


私がルカの言葉に答えるととたんに、オドオドとし始めたナツメ。
本当、性格反対の方がよかったですよねぇ。


『(…大丈夫ですよーぅ。それでですね、ルカとナツメには悪いですけど、この海賊船に着いて来れますかぁ?それとも、ここで待っていますかぁ?)』
《なに言ってんの?行くに決まってるじゃん。》
《ぼ、ぼくも行くよぉぉお……!》
『(ふふ、ありがとぉございますぅ。)』


二人に微笑みながら言う。
まあ、そう言うと思ったんですけどねぇ。


《てゆうか、なんかそこの海賊たちすっごい僕たちのこと見てるけどいいの?》
《ぼ、ぼく恐くないから!》
『(いいですよぉ。後で私から言っておきますからぁ。あ、最後に、ルカとナツメはここらへんの海域の情報収集お願いしますねぇ?)』
《了解。》
《ま、任せて!》


私の言葉にそう返してくれると、二人はチャポンとまた海の底に戻って行った。

さてと、
私は後ろを振り返る。
すると、見えたのは驚いた顔をしている赤髪さんを始めとした、赤髪海賊団の皆さんだった。


『あの、話は終わりましたよぅ?』
「……名前!お前、海王類と話出来るのか??!」


そう言って赤髪さんは私の肩を掴んでガクガクと揺さぶる。

…あれ?そういえば、海王類と話すのは普通じゃないんでしたぁ。
うっかりしてましたよぉ。


『違いますよぅ?ナツメは、ルカとは話せますけど、私とは話せません。ルカを通してナツメとは仲がいいんですよぅ。』


嘘をつくのはしょうがないですよねぇ。
私の存在がバレるわけには行かないですしぃ。


「そ、うか。そうだよな。悪かった。」
『いいえー。』


赤髪さんの誤解が解けると私はまた、赤髪海賊団の人たちにとびきりの笑顔で向き直った。


『ピンクイルカの人魚のナマエって言いまぁす。特技は歌を歌うことと、海の生き物としゃべることでぇす。あ、超音波も出せるので攻撃も出来ますよぉ?で、趣味は花嫁修行をすることですぅ。よろしくお願いしますねぇ。』


花嫁修行って楽しいですよねぇ。
まあ、誰にも嫁ぐ気はないんですけどぉ。


「そうだ!名前は俺の嫁になるからな!」
『…赤髪さん?それじゃぁ、本格的な「お頭ロリコンかよ!!」


そう言ったのはたぶん、ドレッドヘアーの男の人。
あれぇ?この人ってあれですよねぇ?確かウソップのお父さん。


「うるせぇ!俺がするって言ったらするんだ!」
『……あの、私、一言も赤髪さんのお嫁さんになりたいって言ってませんよぅ?』
「……!なる、よな?」


そう言いながら私にせまる赤髪さんは、なんだか必死でとても怖かったです。


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bkm
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