『にゃーーーっ!!!!!妖怪ィィィイイイ!!』
「お、さっき会った奴じゃん。」
マリアさんに連れて来られたのは妖怪河童のところだった。
怖すぎて私はマリアさんの服に必死に掴む。
「村長。この子、家がないみたいなのよ。」
「へー。そうか。じゃあ、名前考えねぇとな!」
『マリアさん!マリアさん!この人恐いです!河童ですぅぅう!』
もうヤダ。
てゆうか、ここは一体どこだよぉぅぅううう!!!!!
「マリアには懐いてんだな。」
「ええ。かわいいでしょ?」
「こいつの名前かー…、猫みたいだから【にゃんこ】でよくね?」
「にゃんこねぇ。いいんじゃないかしら。」
にゃんこ?!にゃんこってなに?!
『私の名前は名前ですよぉぉぉおおお!!!!』
私の叫び声は虚しく辺りに響き渡った。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「で、お前は家がないのか。」
『そうなんです。やっと高校も卒業して一人暮らしが出来ると思った途端!ここにいたんですよ!』
私は村長さんに懐いた。
河童さん優しかった。
あめ玉くれた。
そして私がグチグチとマリアさんと村長さんに言っていると何故か二人に驚愕的な目をされた。
あれ?なんで?
「高校生なの…?」
「お前高校生は嘘だろ。」
『んにゃっ、』
私、高校生だよ!
高校卒業したよ!十八歳だよ!
『そ、そんなに怪しんだ目で見ないでください!証拠だってあるんですよ?!ちゃんとあるんですよ?!』
そう言って確かに持っていたはずのカバンをキョロキョロと探す。
……?あるぇ?
ない、ない、ない、ない!!!!
『ない!私のカバンがない!』
「あ、最初に会った時に持ってたカバンか?」
『それです!ど、どうしよう!財布とかもあそこに入ってるんですよ!』
どうしよう、どうしよう!
携帯だってあの中なのに!
「もしかして、逃げてた時に落としたんじゃないかしら?」
『そっ、そうかも!えっと、えっと、女装してる男の人とお星様に会いました!』
「そう…。じゃあ、」
ボソボソとマリアさんは私の耳元で言う。
『それを言うんですか?』
「ええ。」
『分かりました!』
すぅ、と大きく息を吸う。
『ニノ?さんが核で危なくてどっぽーーん!!!!』
「「なんだと??!!」」
『にゃぁぁぁぁあぁああ!!!!来た!!!なんか来た!!!!』
私が叫んだ途端に来た変態さんとお星様。
私は驚いて思わず河童さんとマリアさんの後ろに隠れる。
「核はどこだ??!!」
「ニノは無事か???!!」
『マリアさぁぁぁああん!!!』
恐い恐い恐い恐い恐い恐い!!!!
顔を近づけてくる二人。
「あら?貴方たちウジ虫が私のにゃんこに近づいていいと思ってるの?」
『私の名前は名前です…』
「ふふ、かーわい!」
そう言ってマリアさんはぎゅーっと私を抱き締めてきた。
それに、ちょっと苦しくてマリアさんの腕から顔を出してぷはっと息を吐くと、変態さんとお星様と目があった。
『………に、ゃっ、』
「マリア、こいつは侵入者じy「黙りなさい。ウジ虫。私のにゃんこを侵入者呼ばわり?許されると思ってるのかしら?だいたい貴方は存在が許されないわ。息を吸わないでちょうだい。ウジ虫。」
マリアさんがそう言い切ったとたんに、変態さんはガクンと膝をつく。
さらに、ほっぺたにある傷からは血が噴き出していた。
さすがに心配になって私は変態さんに恐る恐る近づく。
『あ、あの!だ、大丈夫ですか…?』
「別にいつものことだから気にしなくていい。」
『ふにっ!ご、ごめんなさい!』
私の問いにむすっとしたように答える変態さんが恐くてまたマリアさんの後ろに隠れる。
「で、ニノはどこなんだ!」
『ふにゃん!』
お星様が鬼気迫る顔で私に顔を近づかせる。
それにさらに恐くなってマリアさんの腕にぎゅーっと抱き着く。
「星…?私のにゃんこを怖がらせないでくれないかしら?」
「いだっ、痛い痛い!悪かったってぇぇええ!!」
マリアさんはニコニコと笑いながらお星様の頭をガシリと掴む。
私、わかりました!
お星様=変態さん<<|越えられない壁|<<<<<マリアさんだね!
名前の中で荒川の強者方程式が出来た瞬間でした。
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bkm