ベンさんに持ってきてもらった男性用の下着とズボンを着る。
ベンさんは気を利かせてくれたようで、下着まで持ってきてくださいましたぁ。
しかも新品らしいですよぅ。
そんなベンさんに笑ってお礼を言うと、私は赤髪さんの正面に立った。
『で、私を落としたのは何故ですか?性行為が目的なのでしたらもっといい女の人がいたと思いますよぉ?』
「性行為…そうだな。最終的にはそうなるかもしれない…」
下を向きながらなにやらブツブツと話す赤髪さん。
少しだけ聞こえたその言葉に、私の体は赤髪さんから離れてベンさんにくっつくようにした。
『……ベンさん。私、海に帰ってもいいですかぁ?』
「……すまん。」
赤髪さんは完璧なロリコンでした。
『…ま、関係ないのでいいですけどぉ。で、それとも観賞用なんですかぁ?ぁ、でもそれなら、水槽に入れといた方が良かったですよねぇ。』
「そんなんじゃねぇって!」
『?じゃぁ、なんですかぁ?』
こてり、首を傾げて赤髪さんに聞く。
他になんかありますぅ?
もしかして、私のこと知ってるのでしょうかぁ?
それだとしたらマズイですよねぇ。
『あの「よし!仲間になれ!」……へ?』
仲間?
赤髪さんの言葉に頭に?を飛ばす。
人魚を仲間にって辛くないですかぁ?
「まあ、ナマエは俺が落としたんだし、拒否権はないんだけどな!」
イタズラが成功したように笑う赤髪さん。
その顔に私の口は引き攣るだけだった。
だって明らか計算でしたよねぇ?
『……ベンさん。』
「…なんだ?」
『赤髪さんって、腹黒いんですか?』
「………」
無言でポンポンと私の頭を撫でたベンさんの顔にはいかにも苦労してます、と書いてあって私はこれからのことにため息を吐いた。
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bkm