泡沫の人魚姫 3


薄い桃色の髪に、どこまでも澄んでいる黒い瞳。
こちらを怯えたように見るその目。
そのすべてに魅入った。


「ベン。あの人魚を落とすぞ。」
「…本気で言ってんのか?」
「当たり前だろ?」
「ったく、しょうがねェな…」


不気味に笑う自分の船長を見てベックマンはため息をついて、人魚が少し可哀想に思った。


「(こんなのに好かれるなんてあの人魚も大変だな。)」


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


えーっと……


「五億だ。」
「五億2000ベリー!」
「…はぁ。六億。」
「っ、」


7000万ベリーから始まった私の競り。
それが何時の間にやら六億ベリーまで上がってしまいました。
てゆうか、私のこと落としたのってやる気なさそうな人ですねぇ。

ふと、視線を感じたので私のことを落とした人の隣を見ると、とてもいい笑顔で赤髪の人が笑っていた。

……あれぇ?私、あの人知ってますよぅ?

私を落とした人間は、あらまびっくり。
主人公を助けた憧れのあの人でした。


そんなこんなで赤髪のシャンクスさんに競り落とされた私は赤髪さんの海賊船の中に水槽ごと乗せられた。

結構強引ですよねぇ。

そして私がいるのは何故か船長室。
なんでしょう?ほんとに観賞用に連れて来たのでしょうかねぇ?


「シャンクスだ!」
『………ナマエです。』


と、思ったらいきなり自己紹介をさせられたので私もちょこっとだけ考えて自分の名前を言う。
まあ、今の名前はしらゆりなんですけどねぇ。
私、しらゆりって感じではないですもん。
それにやっぱり前の名前の方がしっくりきますもん。


「よろしくな!」
『えーっと、あの、すいませんけど私の首輪取ってくれませんかぁ?あ、あと、水槽からも出してくれると嬉しいですぅ。』


私の言葉に赤髪さんはニカッと太陽のように笑うと、その笑顔と裏腹に力強い拳で私の入っていた水槽をバリンッと壊してくれました。
私には破片飛んでないですよぅ?
ちなみにその後、赤髪さんは隣で煙管を吸ってる人に殴られてました。
どっちが上か分かりませんよねぇ。


『ありがとうございましたぁ。』
「……なんで足があるんだ?!」
『それは人魚の秘密ということにしといてくださぁい。』


ちなみに本当は魔法でちょいちょいやっただけですよぅ。
前世にいろいろあって、私、魔法が使えるんですよぉ。
魔力も相当あるみたいで、杖なしで魔法使えるので便利なんですよ?

それにしても。


『あの、』
「ん?なんだ?」
『そんなに見られると恥ずかしいんですけど……』


私のことをジロジロと見る赤髪さん。
すると、いきなりデレーっとした顔になった。



『……すみません。なにかを服を貸してもらえませんかぁ?ズボンとかだけでいいのでぇ。』
「なんか着るのか?!もったいない!!」



赤髪さんの言葉をスルーして煙管を吸っている男の人に話しかける。
赤髪さんはちょっと変な趣味を持っているようなので。


「…あぁ。わかった。いつまでもその格好じゃあれだしな。」
『はい…奴隷なのに図々しくてごめんなさい…』


ちなみに今の私の格好はロングのTシャツに下はなんにも着ていない。
まあ、魔法で服は出せないですしぃ。


「えー。ベン!持ってこなくていいって。」
『…赤髪さん。』
「あ?なんだ?」
『ロリコンですかぁ?(真顔)』


私、13歳。赤髪さん、36歳。
どうみても変態のロリコンですよねぇ。


「すいません。」
「じゃあ、持ってくるから待っててくれ。」
『ありがとうございますぅ。えーっと…』
「あぁ。俺はベン・ベックマンだ。よろしく頼む。」
『いえ。こちらこそよろしくお願いしますぅ。』



ベンさんは私の髪をさらっと撫でると船長室から出て行った。
ベンさんはとてもイケメンでしたぁ。


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bkm
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