世界が一つになるまで 15


原作通り、美朱ちゃんは元の世界に帰って行った。
原作通り、美朱ちゃんは一人でも平気だった。
原作通り、私なんかいらない存在になった。
原作通り、唯ちゃんが美朱ちゃんを助けた。

原作通り、原作通り、原作通り、

原作通りのはずなのに、なんで私は悲しいんだろう


《ごしゅじん…、》
『めーちゃん、』


私の足元に擦り寄るめーちゃんを抱き上げる。
すると、めーちゃんはペロリと私のほっぺを舐めた


《かなしまないで、ごしゅじん。ぼくは、ずーっとごしゅじんといるから。ぼくはごしゅじんからはなれないよ。》
『めー、ちゃ、わ、わたし、本当は、さ、さみしかっ、たの。』


めーちゃんを抱き締めながら私は崩れ落ちる。
周りにいる七星士と太一君が私を見てるけど、それすら関係なく私は泣き叫ぶ。


『好き、美朱ちゃんが好き、なのに…!でも、だって、こうしなくちゃ、』
《ごしゅじん、》
『だって、ふぇ、やだよっ!ほんとは、美朱ちゃんの中から私が消えるのやだ!でも、でも、ふぇぇえ、』
《なかないで!ごしゅじん、ごしゅじん!》


めーちゃんが私を慰めようとペロペロと舐めてくれるのは分かるけど、私の涙が止まりそうにない。
苦しい、息が苦しい。

やっぱり、美朱ちゃんは世界なんだ。
そうだよね。だって、主人公だもん。
キラキラ輝く主人公。世界の中心。

あぁ苦しい。

苦しい、苦しいよ。
誰か助けて…


《ごしゅじん?!》
『たす、けて、……、』


私の意識はそのまま真っ暗な世界へ。


めーちゃんSide

「っと、危ないわねー…」


僕のご主人がそのまま倒れそうになるのをオカマが支える。僕はそれをただ見てることしかできなかった。

僕の身体がもっと大きくて、ご主人を包み込めるくらい大きかったら、僕はもっとご主人の力になれるのに。
なんで僕は小さいんだろう。


《ごしゅじん…》
「お前は名前の上からちょっとどいてくれ。名前を寝かせる。」


ひょいっとご主人を横抱きにしてご主人を寝かせる長髪。
僕の手が人間と同じなら僕がご主人を寝かせられたのに。


「狛犬、わしはこれからのことについて七星士に話がある。名前を頼んだぞ。」
《うん…》


ご主人を寝かせると、長髪とオカマと馬鹿そうなのはどこかに行った。
僕はそれを見届けてからご主人の元に行く。


《ごしゅじん、やくにたてなくてごめんね。》
『んっ…』


寝ているご主人にくいっと頬を寄せる。
ご主人の役に立つって言ったのに。
僕、結局ご主人を困らしちゃったのかなぁ?


『めーちゃん…?』
《ごしゅじん…、》
『ふふふ、めーちゃん。』


ご主人は寝ぼけてるのかな?
虚ろな目をしたご主人は僕を優しく抱き締める。


『めーちゃん、だぁいすきだよ。』
《っ、ごしゅじん!》
『だから、泣かない、で、ね…?』


そう一言僕に呟くとご主人はまた寝息を立て始めた

ご主人はとってもとっても優しい人。
僕と似てるご主人は僕なんかよりもずっと優しくて温かくてぬくもりを与えてくれる人。

ご主人、ご主人、傷付かないで。
ご主人を傷付けるやつから僕が護るから。
僕はずっとずーっと一緒にいるから。
だから、ずっと僕のそばで笑っていて。


《ごしゅじん、だいすきだよ。》


僕の愛おしいご主人様。
どうか僕をそばにおいてください。



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