世界が一つになるまで 12



ドクドクと美朱ちゃんの胸から真っ赤な血が流れる。
それを美朱ちゃん達から見えないところで見ていた私だけど、見てるだけなのが我慢出来なくてめーちゃんを抱っこしたまま、私は美朱ちゃん達の前に出た。


『太一君、血を使うなら私のにしてください。七星士の血を使って力を半減するなら、私の血を使った方がいいです。』
「、名前……?」
『ごめんなさい、美朱ちゃん。私の血で我慢してくださいね。』


もし、七星士の力が半減してしまったら私が元の世界に帰るのが遅くなってしまう。
そんなのは、駄目。
私はこの世界に囚われたくない。


「名前?!なんでここにいるの?!」
『…ごめんなさい。』
「ちが、怒ってるんじゃ、」


美朱ちゃんが怒るのは嫌。
世界に拒絶された気分になるんです。


「…娘娘。鬼宿と星宿を治療してやれ。名前は服を脱げ。」
「わかった!」
「ちょ、ソイツ誰だよ!」
「……鬼宿行くぞ。」
「っ、わかった…」


私の突然の登場に鬼宿は驚き、私が誰だかを問いただそうとする。
でもそれは星宿の声に制され、鬼宿と星宿は娘娘に着いて近くの椅子へ移動した。
私が怪しいと二人も不安だと思うし。娘娘の計らいだろう。
私はそれを横目に下着以外を脱ぐ。もちろん、胸を隠すものも。
男の人に見られても別になんともない。
まあ、二人は顔を背けていたけど。


『めーちゃん、私から離れててね。』
《うん!わかった!》


美朱ちゃんと同じ姿になってからめーちゃんにキスをしてそう話す。
私からめーちゃんが離れると私の身体太一君によって玉のようなモノに包まれた。


「名前、美朱。今からわしの念力で名前の血をこの玉を通して美朱の傷口から体内へ入れていく。名前の身体にはキズがつくが…わかっているな。」
『はい…大丈夫です。』
「では、行くぞ!」

バッ


太一君が力を使うのと同時に私の右胸に美朱ちゃんと同じ傷ができる。


「名前…!もう…いいよ、やめて……!」
『っ、ぁ!』
「…熱いっ…!」


私の血が美朱ちゃんに流れるのが分かる。
身体が熱くて、熱くて、
涙がポロと一筋だけ落ちる。
でも、それを気にならないくらい美朱ちゃんのために何か出来る自分がいることにホッとした。


「……よし、もう良いな。」

シュッ

『ん…みあ、かちゃ、』
「ぁ…」


必死に美朱ちゃんに手を伸ばす。
死なないって分かってたけど、とっても心配だった。
私を見て心配そうにする美朱ちゃんが嬉しい。


「コレ着るね」
『あ、ありがとうございます…』


私と美朱ちゃんは娘娘に服を着せられる。
ボーッとしながら美朱ちゃんを見つめていると美朱ちゃんと目が合った。


「名前!どうして…」
『わ、たし、気付いたらここにいて…今まで太一君に保護されていました。』


ちょっとだけ嘘をつくのは申し訳ないけど、本当のことは言えない。
そういえば、こんなに美朱ちゃんとしゃべったの初めてかもしれない……


「っ、帰ろう…あたしと一緒に帰ろう…」
『…美朱ちゃんは私のこと怒ってるんじゃないんですか?』
「っ、違うに決まってるじゃん!あたし、名前のこと大事なんだから!」
『き、嫌いじゃないんですか…?』
「そんなことありえない!」


そう言って私を抱き締める美朱ちゃんが暖かくて、初めて美朱ちゃんの温もりを感じることができた。


《ごしゅじーーーん!!!!だいじょうぶ?!だいじょうぶだった?!》
「ちょ、このクソ犬!待ちなさいよ!」


……私が血をあげてる間に柳宿とめーちゃんには何があったんでしょう。
めーちゃんの後ろには般若のような顔をした柳宿。
めーちゃんはめーちゃんでまだ着替え終わっていない私の胸に飛びこんできた。


《ぼくねー、へんたいといっしょにいたんだぁ。ごしゅじんいなくてさびしかったー!》
『……めーちゃん、』
「誰が変態ですってぇ?」


そう言ってにっこりと笑う柳宿が恐い。


『えっと、柳宿さんですよね?めーちゃんが何かしましたか?』
「なんでもないわよぉ?ただ、その子をちょっとだけ貸してくれないかしら。」
《べーだっ!ぼくのごしゅじんにさわらないでよ!》
「なんですって?」


…ほんとに私がいない間に何があったんですか。


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bkm
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