人形劇 9


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私は父親には可愛がられていたが、母親にはとても嫌われていた。
なぜなら、私の顔は母親の元・旦那にそっくりだったから。

皮肉だよね。私を産んだのは母親なのに、その母親は私を嫌ってるの。
母親の再婚相手の父親は私をとても可愛がってくれたのに。

私って一般的に見ると綺麗でしょ?
私の血縁上の父親はがそうだったから。まあ、性格は最悪だったんだけど。

あ、余談だった。

母親にはすっごく嫌われて殴られたりもしたけど、私は父親もいたし、幼馴染もいたから幸せだった。

でもね、私の五歳の誕生日にその幸せも壊れたの。

父親が殺されそうになった。

誰にか?私の血縁上の父親。まあ、言わば母親の元・旦那。

父親は発見が早くて無事だった。
でもね、私と犯人は瓜二つ。
父親は私の顔をとても怖がった。

私の幸せは壊れたの。


それでね、私はあまり家にいることが少なくなった。
その日も家にいないで一人で遊んでる時だった。


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「ねェ、お嬢さん。」
『?だぁれー?』
「ボクかい?ボクはただのピエロさ。」


そう言ったふくよかな格好をしたピエロさんはお花をポンと何もない場所から出した。


『わぁー!ピエロさんすごい!すごい!もっとみせてみせて!』
「いいヨ。コッチにおいで。」
『うん!』


そう言ってピエロさんに近づいた。
とても不思議なピエロさん。
私はまんまとピエロに魅せられたんだ。

それからずっとピエロの手品を見ていて気付いたら私は知らない場所にいた。


『?ピエロさん、ここどこー?』
「ココはネ、イラナイものが捨てられル場所。キミはイラないモノなんダね。」
『っ、ぴ、ピエロさ、ん、?』


そう言ってだんだんと私に近づいてくるピエロさん。
その手に持っていたものは鋭利な刃物。

何故だか分からない。死ぬことに恐怖はなかった。


「サヨうナラ。」


覚悟を決めてぎゅっと目を瞑る。
でも、いつまでたっても衝撃が来ることはなかった。

恐る恐る目を開けると見えたのは誰かの背中。

それを見て私の意識は真っ暗な闇に消えた。


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『ここまででなんか質問はー?』
「あの誘拐事件は名前ちゃんのことだったんか?」
『うん。そうだよー。それだけ?』
「とりあえずは、な。」
『ん、じゃぁ、ここからは一気に話すね!眠いし!』


私の腰に回っている仁王ちゃんの手をぎゅっと掴むと私はまた話し始めた。


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私が目を覚ましたのは何処か倉庫のような場所。
私はキョロキョロと辺りを見渡す。


『ここどこぉ?』
「気がついたか。」


目を覚ました私を覗き込むように見る黒髪の男の子。


『お兄ちゃんだぁれ?』
「クロロ。」
『?』
「クロロ=ルシルフルだ。」
『あはは!変な名前〜!初めて聞いた!私はね、名前だよ!よろしくね!』


私の言葉にクロロは無言で頭を撫でた。
その意味が分からず私はこてり、と首を傾げる。


「……お前は気付いてるだろう?」
『…捨てられたことー?』
「あぁ。」
『よく、わかんない。クロロ。ここのこと教えて?』


クロロは私の言葉に最初渋ったようだったけど、きちんとすべて隠さず教えてくれた。


そこは私たちが住んでいた世界とは違う場所。


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