人形劇 6


きゃーっと女の子特有の甲高い声が聞こえた。
それにうるさいなぁと思いつつも目は私を殴ってきた奴から離さない。


『いったいなぁ…なにすんのさ。真田。』


私を殴ってきたのは真田弦一郎。
女の子の顔を殴るとか終わってるよね!


「お前…雪のことを悪くいうのは許さん。」
『ふーん。まあ、すぐ治るからいいけどさ!あー…はははは!これ!これなんだよね!』
「なんだ…、」


これこそ、theいじめ!って感じ!!


『ね?私を殴ったならそれなりに覚悟してるよね?それ、折ってもいいんだよね?』


そう言って私が指すのは腕。
にこにこ、
私は嗤ってみんなにわかるように話す。


『そのいちー、私は人を裏切る人が大っ嫌いでーす。そのにー、私は強いでーす。そのさーん、私は優しーでーす。ので、今のは忘れてあげるから授業受けようね?』
「「「っ、」」」
『せーんせ!早く授業始めよ?私も怒るのはめんどくさいから嫌なんだー!ね?』


みんなが息を呑む声がきこえた。
それににんまりと嗤う。
あー楽し!
自分がワクワクしてるのが分かる。

授業中もずっと私はにこにこと嗤っていた。


*-*--*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

キーンコーンカーンコーン

鐘が鳴ると同時にいろんな人が部活やらなにやらで席を動く。
私も準備をしようとカバンに手をかけた。

珍しく部活に行くのが楽しみでしょうがない。
自分でも面白いくらいにワクワクしてるのが分かる。


「名前ちゃん!部活行かんの?」
『行くに決まってるよ!楽しくなってきたところなんだから!』


たぶん今日から始まる。
あー!楽しみ!

ワクワクしてる私の横で仁王ちゃんが不安そうに私を見るのがわかったので、とりあえず頭を撫でておいた。


「そういえば、さっきこっちのクラスが騒がしかったんじゃがなんかあったんか?」
『あ、真田に殴られた時じゃないかな?殴られるのって久しぶりだったから、思わず笑っちゃった!』
「?!な、殴られたんか!」


?仁王ちゃん過剰反応すぎー。
私の怪我は早く治るからいいのに!
てゆうか、むしろ真田の手は大丈夫なのかなぁ?


「っ、真田許さんぜよ…!」
『はい、仁王ちゃんは唇噛みすぎー!血が出てるってすごいよ!てゆうか、私の顔見て。』
「っっっっ、名前ちゃ、これはさすがに近すぎじゃ!」


唇噛みすぎて血が出ていた仁王ちゃんの顔を掴んで私の顔を近づけさせる。
仁王ちゃんはそれに顔を真っ赤にして唇のことを忘れたように乙女乙女してた。


『だーかーらー!私のもう痣は治ったから!なに、乙女になってんの!男の子でしょ!』
「ほんとにないぜよ……」
『え、話聞いてない?』


仁王ちゃんは話を聞かない子になりました。
私の顔をがっしりと掴んで驚いた顔で言う。
さらにいえば、さっきより顔と顔の距離が近い。


「で、でも、顔じゃないかもしれんじゃろ!お腹とか、見えないところかもしれん!」
『わかった、わかった。ほら、部活行こ!』



なんかもう仁王ちゃんがめんどくさい。
ので、私は自分の手で仁王ちゃんの手をぎゅっと握りしめて部活に向かいました。


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