三月ウサギ 10


『わっ!すごい…!』


それはわたしが見ていたものと同じようにユラユラと揺れていた。
マダツボミの塔を支える柱。
それはユラユラと揺れながれ塔を支える。
すごい、すごいすごい!
わたしの心はドキドキと、夢を見ていた頃と同じように騒ぎ出す。


『シオン!上も見てみよ!』
「ーー!」


お坊さんに挨拶をしながら階段を登る。
すると、途中で誰かにぶつかってしまった。


ドンッ
『っ、ぁ…!』


階段だったので当然、わたしは階段から落ちそうになる。
それに逆らえずに落ちると思って目をぎゅっとつぶるが、衝撃はいつまでたっても来なかった。


「あっぶねぇ…大丈夫スかぁ?」
『えっ?あっ、ひ、びきくん、?』


わたしを引っ張ってくれていた人はヒビキくんそっくりだった。
驚いて、ぽそりとヒビキくんの名前を言う。
それでも、ヒビキくんそっくりさんは耳が言いのか驚いた顔をしていた。


「ヒビキぃ?なに?お姉さん、ヒビキのこと知ってんの?」
『えっ、う、うん。』
「へぇ〜、そりゃおもしれェ。」
『へ?なんかいった?』


ぼそりとヒビキくんそっくりさんは何か呟いた様子だったけど、聞こえなくて思わず聞き返す。
すると、ヒビキくんそっくりさんはニッと歯を出してイタズラっ子のように嗤った。


「なんでもないッスよ!それよりお姉さんの名前は?あ、俺はゴールドっス!」
『ぇ、うん、あの、それより顔が近い……!』


ヒビキくんそっくりさん、もといゴールドくんは私とキスが出来そうなくらい顔を近づけていて、
思わず腰を引いてしまった。


「ね、お姉さん、ちょっと俺と一緒に来てほしいんスけど…」
『わ、わかったから顔を近づけないで…!』


私の言葉にニカリと笑うとゴールドくんは私の手を引いて階段をあがった。


「断られなくてよかったッス!」
『う、うん?』
「断られたらめんどくさかったしな。」
『え?ごめんね、なんか言った?』
「気にしないでください!」


そう言ってニカっと笑うゴールドくんが思ってたことなんて知らなかった。



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bkm
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