頭を振って朱雀のことを頭から追い出す。
不思議そうに私を見るめーちゃんの頭を撫でながらこれからどうするのかを考えた。
めーちゃんの体がもふもふで気持ちいいです。
『よしっ!とりあえず家に帰りましょう!』
《?どうやってー?》
『、そ、れは、どうしましょう……』
うーんと悩む。
そういえば、私って突然ここに来たんでしたっけ。
それに、
『四神天地書も見てないーー……』
《ごしゅじーん?》
じゃぁ、なんで私はここに来たの?
私は美朱ちゃんとは違うはずなのに。
『めーちゃんはどうすれば帰れるのか知ってます?』
《うーうん!わかんなーい!》
私の手のひらに擦りよりながらめーちゃんは首を振った。
可愛い、可愛いんですけど……
わかんないじゃ意味ないじゃないですかぁ…!
【名前……】
めーちゃんを撫で続けていると何処からか声が聞こえた。
キョロキョロと辺りを見渡してみるけど周りにあるのは草木だけで、人っ子一人いなかった。
『?めーちゃん、なんか聞こえませんでした?』
《?きこえなかったよー?》
おかしいですね…
何か聞こえたはずなんですけど…
パァ……!
すると、突然辺りが輝く。
私はぎゅうっとめーちゃんを護るように抱き締める。
護らなくちゃ、めーちゃんは護らなくちゃ。
この子を巻き込むのだけは駄目。
そんな想いが頭を巡る。
『、』
《っ、ご、ごしゅじん!ぼくがまもるからねっ!》
そんなめーちゃんが愛しい。
こんな状況でも私を護ろうとしてくれた。
なら、私はめーちゃんを信じて、助けなくちゃ。
「そんな必要はない。」
『っ、…!!』
《ヴヴー……》
いきなり辺りの景色は変わり、後ろから聞こえる声。
私は勢いよく振り返り声の主を見る。
それは私の見たことのある人で、物語の鍵になる人物だった。
『めーちゃん。威嚇をやめて。』
《…?ごしゅじん?》
『貴方がなんの御用ですか?太一君。』
キッと太一君を睨みつけながら私はめーちゃんが落ち着くように撫で続ける。
「そんなに怒るでない。お前だろう?朱雀たちの寵愛を受けるものは。」
『っ、ちょ、うあい…』
《ちょっと!ぼくのごしゅじんをいじめないで!》
「狛犬よ。お前も落ち着け。私はお前たちが困っていたようだったからここに呼んだまで。」
太一君の言葉が頭に入って来ない。
私には朱雀たちの【寵愛】と言う言葉がぐるぐると廻って。
なんで?私は朱雀たちに会ったことないのに。
『太一君。私は元の世界に帰れますよね?』
私の言葉に太一君は言葉を濁す。
それが余計に不安を煽っていて、
『帰れ、ないんです、か?』
「……まあ、話を聞きなさい。娘娘。」
ポン!
「あなたこっち!こっちに休憩するとこある!」
絶望を感じながら私は娘娘に連れられて太一君の家に入った。
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bkm