世界が一つになるまで 2


「おかわり!」


そう言ってお母さんにお茶碗を渡す美朱ちゃんを見る。
だってこれで三杯目ですよ。太っちゃいます…、

お兄ちゃんも同じように思ったのか引いてる目で美朱ちゃんを見ていた。


「ゲーっ、三杯目じゃん!いつもよく食うなぁ」
「あ!ねっ、お兄ちゃんて大学専攻中国哲学でしょ!【四神天地書】って知ってる?」
『っ、』


美朱ちゃんの言葉に思わず箸を持っていた手を止める。
あぁ、もうそんな時期なんですか。
今年受験だからもうそろそろかな、とは思ってたけど…
頭では理解しているのに、体は受け付けないかのように震えている。


「…さぁ。聞いたことねェなァ。四神は分かるけど。」
『っ、ごちそう様でした。』


タイミングを見計らって食器を片付け、リビングを出る。
これ以上聞いていたくなかった。


バタンッ!


部屋に戻ると私は膝から崩れ落ちる。
恐い、恐い恐い恐い恐い恐い!
私が知っていることが始まるのが恐い、恐くて恐くてたまらない。

これから私はいろんな人を見殺しにする。
たくさん、たくさんの人を。


『、なんで、こんなのがあるんだろ。なければよかったのに。』


心がぎゅって誰か押しつぶされてるみたいに苦しい。
助けてよ。誰か助けて。

私は小さな真紅のピアスをぎゅぅっと握り締める。
誰から貰ったのかは覚えてない。
だけど、それはとても大切なもの。

それをぎゅっと握り締めたまま、私は深い眠りに入った。






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