また、あの夢。
ノイズがかかる、夢。
「××、ごめん、ごめん。僕が守ってあげられたらよかったのに。」
『××、ごめんね。×××が悪いの。×××にあの人を止める力がなくて、ごめんなさいごめんなさい。』
ポロポロと二人の女の子が涙を零す。
女の子たちの前にはボロボロの男の子。
それを見ると、ジクジクと私の胸が痛む。
男の子がニコリと微笑んだ。
「大丈夫ですよ。俺は、男なんですから。」
『だめ、だめだよ、××だって、痛いって、…、ぁぁあああぁぁあぁあぁああ!!!!!!!』
突然、女の子が狂ったように頭を抑え叫ぶ。
それをもう一人の女の子が、抱き締め止めようとするけど、女の子の叫びは止まらない。
パァア、と女の子を光が包み込む。
それと同時に私の頭にズキンズキンと痛みが響く。
それはまるで共鳴するように。
『ぁ、あ、いや、やだやだやだやだやだやだやだやだやだや、』
ヒュッと女の子の声が突然止まった。
私の頭の響きも止まる。
『ね、さま、』
「大丈夫か?!」
『だいじょ、ぶです、早く、××のこと、治さないと、』
フラフラの身体で女の子は立ち上がった。
▽
パチリ、目が覚める。
キョロキョロと辺りを見渡すと、うーちゃんがいない、ぽちもいないこーちゃんもいない。
何かに操られるように、私は足を動かす。
行かなくちゃ。私、また置いて行かれちゃう。
頭がボーッとする。
まるで、私が私じゃないみたいに。
この時、私の目の色が変わっていることを、気が付く人は誰もいない。
走って、走って、走る。
私を置いていかないで、私、もっと頑張るから。
『うー、ちゃん、う、つほ、ねぇ、』
名前を一人にしないで…、
そう、呟いた瞬間、大きな爆発音が聞こえて、走って爆発のした方へ走る。
そこに、うーちゃんがいる気がして。
「ん?名前?」
爆発のしたところへ行けば、そこにはやっぱりうーちゃんがいた。
『ぁ…』
傷だらけのうーちゃんを見ると、キィンッと頭に何かが響く。
『やぁぁぁあ!!!うーちゃんうーちゃんうーちゃんうーちゃ、うつほうつほうつほ!!!やだやだやだ死んじゃヤダ!!ヤダぁぁあ!!』
血だらけの誰かが横たわる。真っ赤な血が私ともう一人の人の手にべっとりとつく。泣いてる泣いてる。名前のせいで、泣いてるの。
「名前!落ち着きい!」
『ぁ、あ、』
「ええか?ゆっくり息を吐くんや。そう。ゆーっくりとや。」
落ち着く、声。
その声を最後に、私の意識は深い闇の底に眠った。
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bkm