『こーちゃん、はい!』
「あぁ、悪いな。」
船を作ってるこーちゃんに木材を渡すとポンポンと頭を撫でながらお礼を言ってくれる。
それが嬉しくて、私はにこーっとしながらこーちゃんのお手伝いをする。
こーちゃんはね、いっぱい褒めてくれるのー!
「名前、俺は帆柱の木を切り出してくるからここで大人しく待ってろよ。」
『はーい!』
こーちゃんを待ってる間、ルンルンしながらこーちゃんが作った船の近くで貝やら何やらを拾う。
えへへ、こーちゃんが作り終わったら飾り付けするのー!
そんなことを考えながら拾っていると、私の真上に影が出来た。
それを不思議に思って上を向くと、キラキラした服を着た知らない男の人が二人、私をジッと見てた。
『?だぁれ?』
「おっ!やっぱり可愛いじゃん!」
「ね、俺たちと一緒に来ない?」
『やっ…!』
知らない男の人の一人は私の腕を掴んで引っ張り、もう一人はこーちゃんがせっかく作った船を海に流そうとする。
『っ、ダメ!こーちゃん頑張ったのに!』
「はいはい。女の子は黙っててね〜。」
『やぁ!』
私の手首を掴んでる人の顔が私に近づく。
それにゾワリと背中が逆立つ。
恐い…恐いよ…!やだやだ!
ぽち、うーちゃん、こーちゃん…!!
『うーちゃ、こーちゃ、』
どーん!
そんな音がして私に迫ってた男の人はぶっ飛んだ。
「…わしの名前になにしとんねん。」
低く唸るような声を出してうーちゃんは男の人たちに言う。
それに安心すると私はポロリと涙が出る。
うぅー、恐かったのー…
『ふぇ……』
「名前さーん、大丈夫ですかー?」
『ぽちぃ、』
へたり込んだ私の顔を覗き込むようにしたぽちをぎゅーっと抱き締める。
すると、いつもより目付きの鋭いうーちゃんが男の人をギロリと睨み付けた。
「おまえらなァ、キラキラしとってエエ着物やのォ?そないなモン着れんなら、真面目に働くなんてら、そらアホらしく見えるやろ。」
『?』
こーちゃん、いつもより怒ってる?
ぽちをぎゅーっと抱きしめながら怒ってるうーちゃんを見る。
「あわわ。」
「けど、あいつはブザマない。カッコエエわ。真面目にやっとる奴バカにするお前らより何十倍もな!」
「ひぃええ〜」
うーちゃん、こーちゃんの船が壊されそうになったから怒ってたんだ。
私はなんだか嬉しくなってニコニコと笑う。
それって、うーちゃんとこーちゃんが仲良くなったってことだよね!嬉しいの!
「それになァ、あの船はわしの名前も造るの手伝ったんやぞ?そんなん壊そうとするなんて……死にたいんやなァ?」
「「ひっ、ご、ごごべんなだい〜!」」
……なんだろ?
私、今、うーちゃんの方が悪者にみえちゃった。
そんなこんなで作り始めて一週間。
やっと船が完成した。
『すごっーいの!!』
思わずぽちと一緒にこーちゃんにパチパチと拍手を送る。
「なんとか一週間でできたな。」
『こーちゃんすごいの!!!ね、ぽち!!』
「はいー。おかーさまはーなんでもできるんですねー。」
ぽちと一緒にニコニコとこーちゃんを褒めるとこーちゃんは私たちの頭を撫でてくれた。
「アホ、何ができたや、帆がないやんか。」
『あ、うーちゃん。』「空さーん。」
うーちゃんの声が聞こえたのでくるりと後ろを向くと、そこには大きな布を持ったうーちゃんがいた。
「空、それは…」
「こんなこったろーと思て、布集めて縫い合わせといたわ。ほれ名前、ぽち。好きに絵描いてエエぞ〜」
『わーい!ぽち一緒に書こ!』
「はいー!」
私とぽちは二人で仲良く絵を描かせてもらいました。
楽しかったのー!
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bkm