鳥は空を飛ぶ 12


『あれ?ぽちー!うーちゃーん!こーちゃーん!』

……しーん……………

『……迷子になっちゃったの!』


ぽちが人の声がしますーって言ってみんなで森の中に入ったのはいいけど、途中で私だけ迷子になった。


『むむ、どうしよー!ぽちー、うーちゃ、こーちゃんどこー?』


大きな声で三人を呼びながらキョロキョロと辺りを見渡すけど誰もいない。


『ふぇ……ぽ、ちっ、うーちゃ、こーちゃ、どこぉ……!うわぁぁぁん!!!!誰もいなぁぁぁあい!!!!』


誰もいないのがさみしくて哀しくて大泣きする。


『ひっ、く…ねぇさまぁ……』

…………?

『あれ?姉様ってだぁれ?』


思わず涙も止まって考えこむ。
私が和尚様のとこにいた時に姉様なんていたんだっけ?んん?あれれ?


『私には姉様がいなくて、でも姉様って知ってて、でも姉様は本当にはいなくて姉様は姉様で姉様が私の姉様????』


あれー?わかんなーい!
とりあえず、ぽちたち探そっ!

キョロキョロ
辺りを見渡すけどあるのは草木ばかり。
草木を分け入って入ってみてもぽちたちは見つからない。
そのまま探し続けていると祠のようならものがあった。


『祠…?あれ?あれれ?私、ここ知ってる……?』

キィィィィイン

『っ、痛い!』


ツキンと頭が痛くなる。
そのまま痛みは止まらない。

思い出せ、思い出せ。
私の中のなにかがそう囁く。


『ぁ…、おんな、のこ?』


そうだ。
女の子と私、二人でここにいた。
私と女の子は一緒で……
でも、なにが一緒だったんだっけ?
そもそも女の子の名前はなんだっけ?


『うぅ…』
「「名前ー!!」」
「名前さーん!」


思い出そうとすると、今まではぐれていたぽちたちの声が聞こえた。
それと同時に止まる頭痛。
それにホッとしながら私は声のする方へ走って行った。


『ぽちー!うーちゃん!こーちゃん!』
「名前さーん!」
「今までどこにいたんや!」
「一人は危険だって言っただろ!」
『ごめんなさぁい……』


なんでだか分からないけど三人に祠のことと私の記憶のことは言えなかった。


『このまま、このままでいいの。』
「なんか言いましたかー?」
『ううん!なんでもない!私ね、三人とも大好きなのー!』
「ぽちもみんな大好きですー」


そう、私の記憶がみんなと私を引き離すのなら私はイラナイ。

私は記憶から逃げたんだ、


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bkm
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