私が目を覚ますと最初に見えたのは無表情なイルミのドアップでした。
『うひゃぁあっ!むぐっ!』
「うるさいってば。」
びっくりして叫んだらイルミに口を塞がれた。びっくりして思わず涙目になる。
いや、だってこの人私の鼻まで抑えてんだもん!苦しいよ!
「あ、その表情いいね。」
『ふぅっ!むぎゅ!うう!』
なんだこれなんだこれなんだこれ!
イルミがこわぃぃいいぃぃいぃいい!!!!てゆうか、苦しいぃぃいいい!!
私はどうにかイルミの腕から逃れようと体をジタバタさせる。
でも、さすがはイルミというか。私の力なんて意味がないようでピクリともしない。
てか、なんで私ベッドの上にいんの?
あ、苦し過ぎてどうでもいいことまで考えるようになっちゃった。
「あれ?動かなくなっちゃった。」
『ふぁ…、』
苦しかったよぉぉおお!
私が動かなくなったとたんにイルミは手を離してくれた。
もうやだ。泣きそうだ。
『もうやだぁぁ…』
「うん、やっぱりキミはその表情がいいよね。」
どういうことですか。ほんと。私、今泣きそうなんだけど。
「あ、俺の名前はイルミね。よろしく。」
『は、?』
え、やだ。これ、私の知ってるイルミ違う。
「キミの名前は。」
『……………』
私が知ってるイルミより優しいイルミについて考えていて私はイルミの話を聞いていなかった。だって私が知ってるイルミはブラコンな病んでれだもん!
「…………」
『やだぁぁああ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!』
すると、イルミは私の手首を思いっきり抑えて馬乗りになってきた。いや、ほんと手首折れるぅぅうううう!
「な ま え 」
『ナマエです!ナマエですぅぅうううう!離して!離れて!』
だってまるで私が襲われてるみたいじゃん!いや、実際に襲われてるんだけど!
「ふーん。ナマエね。じゃぁ、今日からナマエは俺のものだから。」
『え?や、』
………なんで?嫌な予感しかしないし嫌なんだけど。
「ナマエがなんでもするから殺さないでって言ったんじゃん。それに、俺もナマエ気に入ったし。」
特に泣いてる顔が。
イルミはそう言って私にキスをしてきた。
あ、駄目だ。私、逃げらんない。
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bkm