がさがさと森を三人で抜ける。
すると、眼下に広がったのは大きな町だった。
「おっ。見てみ。町やぞ。結構デカいし、賑わってそーやな。行ってみよ。」
「ステキな出会いがあるといいですねー。」
『っ、……』
うーちゃんたちの後ろ姿が霞む。
なんだろ?なんかしたっけ?
それになんか頭がズキズキする…?
「名前、?どうかしたんか?」
「名前さんどうかしたんですかー?元気ないでーす。」
『う、ううん!!大丈夫なのー!!早く町に言ってみよ!』
私はにぱーっと笑って町まで走る。
ちらっと見えたうーちゃんの目が鋭くなっていて、その目から逃げるように走った。
『あれ?人いない?』
「名前!勝手に行くんやない。危ないやろ。」
『はーい。』
私の後ろから走ってきたうーちゃんが私を怒る。
ぽちは私の肩に乗ってきた。
ぽちが可愛いのー!!
うーちゃんの手をぎゅっと握ると近くにあった家にぽちと一緒に訪ねてみる。
「『すいませーん。』」
しーん……
結果は誰もいなかったのー!!
ぽちと一緒に「誰もいないねー」なんて話す。
そんな中でうーちゃんだけは何かを考えるようにしていた。
「なんや?廃村ってわけでもなさそうやし…」
「おい。君…君…!」
どこから声が聞こえた。
その声に反応してキョロキョロと辺りを見渡す。
すると、家の影からおじちゃんがこいこいと手招きをしながら私たちを呼んでいた。
「!」
「早くこっちに来るんだ。鬼に見つかる。早く!」
「なんや人おるやん。鬼?」
『?』
ぽちが違う方を向いたので私もそれに反応してぽちが向いた方を見る。
そこには恐い鬼のお面をした人がいた。
『うきゅっ!!』
「なんやイキナリ。」
「ぐぁああっ…!早く…逃げ…」
その人たちは私たちに木の破片みたいのを投げてくる。
私とぽちとうーちゃんはなんとか避けられたけど、おじちゃんは逃げられずに木の破片が刺さっちゃったみたいだった。
『ゃっ…!』
「名前、ぽち!よーわからんけどあのオッサン拾って逃げんで!」
こくこくと喋れないかわりに頭を必死で下げながらうーちゃんの後ろを走る。
「名前、ぽち こっちや!」
うーちゃんの言う通りに近くにあった家に急いで入る。
入ってすぐにみんなで近くに隠れる。
息を殺して隠れていると、頭のズキズキが酷くなった。
あぁ、どうしよう。
なんか目の前がチカチカする…
どっ!!
『っ、』
「囮だ。」
「外を捜せ。」
鬼は私たちに気付くことなくどこかに行ってしまった。
それに安堵したのか私の目の前は突然真っ暗になったー…
空Side
「いませーん。」
ぽちの言葉にワシらは隠れていた場所から出た。
「オッサン大丈夫か?」
「うう…」
マズイな…
破片のおかげで出血は少ないが…
これじゃ長くはもたんで…
そんなことを考えているとオッサンがか細い声で話す。
「こ…この先の…扇屋…屋根裏に人が…そこに医者も……」
それだけ言うとオッサンは力尽きたように倒れた。
まあ、それだけ聞けたら十分じゃ。
「名前さーん?どうしたんですかー?」
「っ、名前?どうしたんや?」
オッサンを担いでその扇屋で向かおうとするとぽちの不思議そうな心配そうな声に名前の方を見る。
すると名前がぐったりと倒れていた。
やっぱ体調悪かったんか…
そんな考えが頭を巡る。
「ぽち、ちょいと名前のそばにいてやってくれへん?ワシはとりあえずオッサンを医者とところまで連れてくわ。」
「わかりましたー。早く帰ってきてくださいねー」
ぽちの言葉に「了解や。」と言うと、急いで扇屋に向かった。
prev next
bkm