ぽちの言葉の通りお山に行ってみるとそこには男の人に追われている女の子がいた。
それを見てうーちゃんはその男の人たちに蹴りを入れる。
私とぽちはその隙に女の子の元へ向かった。
『だいじょーぶ?』
「わ、私は大丈夫です、でもあの人が…!」
「空さんなら強いので大丈夫でーす」
『うーちゃんはねぇ、強くてかっこいいんだよ!!』
私とぽちはそう言ってにっこり笑いながら女の子を励ます。
「でもその人たちは偽り人なの!」
『うーちゃんもだから大丈夫なのー!!』
「空さんはーきっと騙されないでーす。」
私たちの言葉と同時にうーちゃんは男の人の頭におもいっきり蹴りをかました。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
『うーちゃん頑張ってー!』
「空さーん、ファイトー」
で、今は偽り人の一団のアジトにいますのー
女の子のお兄ちゃんを助けるためのうーちゃんの人助けなのです!!
さらに言うと、そのために疑義勝負っていう勝負をやることになった。
蛇みたいな顔をした男の人に嫌な予感がする。
私は不安からぽちを力強く抱き締める。
「?どうしたんですかー?」
『…なんでもないのー。ただ、あの男の人嫌な感じがする……』
「大丈夫ですよー。空さんは絶対勝ちまーす。」
ぽちの言葉にこくりと頭を頷かせる。
ふと、うーちゃんの方を見るとうーちゃんの後ろからごっつい男の人が斧を振りかぶっていた。
「きゃああぁあ…」
「空さーん!」
『、ゃ、やだやだやだやだ。うーちゃんうーちゃん』
私の目の前が真っ暗になる。
うーちゃんがいなくなったらどうしようどうしよう。
『なんでこんなことするの…、』
「人を騙して出し抜き潰す。嘘ってのはそのためにあるんだよ。」
蛇男のその言葉に私の心の中でぞわりと何かが動く。
どくん、どくん、
心臓が大きな音を立てて鳴り続ける。
私を心配そうに見るぽちの姿にも反応出来ず、私の中の何かはどくどくと鳴る。
『ぁ、あ、』
「名前落ち着きぃ。アホの理屈に構うんやない。」
『うー、ちゃん…?』
何かが爆発しそうになるその直前、うーちゃんの声が聞こえた。
その声で私の中の何かも急速におさまる。
さっきまでのことが嘘みたいに穏やかになった。
「テメェ…!生きてやがったか。…そうか、よけたな。よけたってことは席を立ったんだろ?どの道テメーの負けだ。」
「アホか。お前らごとき相手に…負けるどころか、かすり傷一つ負ったりするかい。」
砂埃が消えて見えたのは、足を刺されて膝まづいてる男と平然とそこに座るうーちゃんの姿だった。
『うーちゃん、よかったぁ…』
「名前は心配しすぎや。ワシが名前置いてくわけないやろ。」
その言葉に私は安心する。
そりにしてもあの蛇男ムカつくのー、
私がムカムカしていると、うーちゃんが避けるために刺した男が喚き出し、それに便乗して男の仲間も騒ぎ出す。
「このガキ、ぶっ殺してやる!!」
「よくもやりやがったな!!」
「…よくも?そりゃこっちのセリフや。人のこと殺そうとしといて、足刺されたくらいで騒ぐなや。お前らもう、殺されても文句言えへんねんぞ。」
そう言ううーちゃんの目に圧倒されて男たちは蛇に睨まれた蛙のように立ち尽くす。
私とぽちはそんなうーちゃんに対して拍手を送った。
『うーちゃんかっこいいのー!!』
「空さんすごいでーす。」
そこからは早かった。
うーちゃんの嘘で下剤の飲んだ蛇男はその場から立って勝負はうーちゃんの勝ち!
その後にまたうーちゃんにちょっかい出そうとしてたけどうーちゃんの嘘で気絶しちゃった。
うーちゃんはすごいのー!!
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
疑義勝負が終わって女の子のお兄ちゃんも見つかったらしく、最初のお山のとこまで戻ってきた。
女の子のお兄ちゃんはケガをしていて、そのケガが治ったらそのお兄ちゃんも捕まっちゃうらしい。
…それでいいのかな?
「別に捕まらんでもすむ方法あんで。自分はなんもしてへんって嘘つけばエエ。どや?」
「………いいえ。嘘には危険が伴う…理由はどうあれ、嘘つきの仲間になったのは兄様の意思…。その責任は二人で償っていきます。助けてくれてありがとう。」
そう言って笑う女の子はとても優しい顔をしていた。
「空さん空さん、あの方はーいつ家族になるんでしょうかー?」
「ん?別にならんけど?」
「なんとっ!」
「ぽちと名前の家族はまた別の機会にな。あいつはエエねん。今は側におらんでも、ちゃんと家族がおる。嘘はもう必要ないわ。…って、名前はさっきから大人しいで。どうしたんや。」
ぐるぐる頭が廻る、
『うーちゃん、家族って、私の本当の家族っているのかな、?』
「っ、」
私の言葉にうーちゃんは言葉が詰まったようになる。
記憶のない私。
そんな私は一体なんなんだろう?
本当の家族もいたのかな?
「名前さんの家族はーぽちたちじゃないんですかー?」
『そっか、そう、だよね。私の今の家族はぽちとうーちゃんだもんね。うん。』
私はぽちを抱き上げてぎゅーっとした。
そんな私の頭を撫でながら複雑そうにしていたうーちゃんがいたことは私は知らない。
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bkm