ジジイの代わりに嘘で百人でも千人でも人を救う言うたんはエエけど…
さて、ワシに出来るんかのォ…
ジジイみたいな真似なんて…
空が一人考えていると空の腕の中からは小動物のように自分の手をぎゅっと握りしめて離さない名前の姿。
『うーちゃん、』
「なんや?」
『ここ絶対危ないよ!!』
離さない、と言うよりは離せない名前の姿。
木の上に登ることなんてない名前は空に支えられていても不安なようだ。
まあ、ここにいんのはワザとなんやけど。
そんな空の考えはつゆ知らず名前は涙目で空に縋りつく。
「ワシがいるから大丈夫やろ。」
『でも恐いもん。うーちゃんのばーかぁ。』
涙目でそう訴える名前は素直に可愛い。
そんな名前の悪口攻撃を無視しながら辺りを見渡していると声が聞こえた。
……?なんじゃ?
『?うーちゃんどうしたの?』
「…名前は危険やから絶対にここから動いたらアカンで。」
『私は行っちゃ駄目?』
名前のその問いにこくりと首を動かす。
不満そうな名前を木の上から下に降ろすと空は声のした方へ行ってしまった。
『うーちゃんひどーい。』
私のこと置いてった。
名前は頬を膨らませながらプンプンと怒る。
そんな名前が大人しく空を待っていられるはずもなく、名前は辺りを探検することに決めた。
『んー?なんもないなぁ。』
うーちゃんがどこかに行っちゃてから私は辺りを散策していた。
だってうーちゃん私のこと置いて行くんだもん!!
ドンッ!!!!
私がそのまま辺りを散策しているとどこからか鉄砲の音みたいな変な音が聞こえた。
『……?なんだろ?うーちゃんかな?』
とりあえず私はその音がした方へ向かう。
うーちゃんかもしれないし!
しばらくして見えてきたのは丘みたいなところでなにかの前にいるうーちゃんと可愛い狸さんだった。
私は走ってうーちゃんに勢いよく抱きつく。
うーちゃんはちゃんと私を受け止めてくれた。
私の急な行動にも動じないうーちゃんはどうしたら動じるんだろー?
『うーちゃんいた!!!!』
「名前?なんでここにいんのや。待ってろ言うたろ。」
『だって寂しかったんだもん!!』
私がそう言うとうーちゃんは私の頭を撫でてくれる。
私はうーちゃんに頭を撫でてもらうのが大好き。
「そうか、」
『あ、狸さんはどうしたの?可愛いのー!』
「ああ、ぽちや。」
「ぽんぽこりーちっちょリーナV世と申しまーす。」
にこーとぽちが笑いながら自己紹介をする。
きゅーん、
私の胸の中になにかが芽生えた。
「あ、ぽちはこれからワシらの家族やからな。仲良くしや。」
「よろしくお願いしまーす。」
『ぴゃー!ぽち可愛いのー!可愛い可愛いのー!私、ぽちと結婚するー!』
私はぽちを抱き上げてぎゅーっと抱き締める。
そしたら、うーちゃんにぽちを取り上げられた。
『なにすんのー!』
「名前はワシと結婚、やろ?」
『違うもん!!私はぽちと結婚するのー!』
「……………」
『あ、うーちゃん目が怖いー!』
うーちゃんの目が怖かったからぽちをうーちゃんから取り返すと私はうーちゃんから逃げた。
「空さんはいいんですかー?」
『うーちゃんはねー、怒ると怖いのー!あ、私は名前って言うの!よろしくね!!』
「よろしくお願いしますー、名前さーん。」
やっぱりぽちは可愛いのー!
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bkm