彼と遊びに行く日 ニコニコと綾人ときり丸と平太、伏木蔵と四郎兵衛は手を繋いで村を歩く。 『楽しいねー!』 「ぼく、綾人先輩と一緒ならいつでも楽しいですぅ…」 「僕もー!」 綾人の言葉に嬉しそうに平太と四郎兵衛は言葉を返す。 それに対してニコニコと綾人も笑顔を返す。 『よしっ!とりあえずお昼食べよー!ちなみに今日は僕の奢りね!』 「ほんとっスか?!」 『ほんとー!』 「よっしゃー!!!」 綾人の言葉に他のみんなももちろんきり丸は多少大袈裟に喜ぶ。 そんな様子を見て綾人はさらにニコニコと笑っていた。 「あら?きり丸くん?」 ざわざわと騒がしいはずの道に女の声がすとんと落ちる。 さっきまで笑顔だったものたちは一変。 ガタガタと何かに震えるように握りしめていた手をぎゅっと握った。 その中でただ一人、綾人だけが狂ったようにニコニコと笑っていた。 「それに……伏木蔵くんも平太くんも四郎兵衛くんも!えっと、もう一人は誰かしら?」 『だれ。』 「あ!私、姫宮愛紅っていうの。よろしくね?」 そう言ってニコニコと笑う姫宮愛紅、もとい天女を綾人は冷めた目で見る。 綾人はそれに全く興味がないのか一度見るとすぐに視線を逸らした。 「ね、君はだぁれ?」 『君、いらなーい。』 「なっ、」 『んん?聞こえなかった?僕に、君は、イラナイ。だから、話しかけてこないでよ。』 綾人はニコニコと笑顔で、しかしどこか狂ったように女に話す。 その言葉を聞いて女は目にたっぷりと涙を浮かべた。 「「「「「「愛紅!/さん!」」」」」」 すると、女が泣き出したとたんに来る六つの声。 それを確認すると綾人以外の四人はさらに身を縮こませた。 だが、綾人はまるで関係ないとでもいうようにニコニコと笑いながら四人に話しかける。 『ね、早く美味しいもの食べに行こっか!』 「ちょっと待て!」 『………なぁに?僕たちになんか用ですか?えーっと隈先輩。』 「っ!」 隈先輩もとい、潮江文次郎は綾人のその言葉に怒りからかその顔を真っ赤に染める。 「ふっ…隈先輩とは。なかなか言うじゃないか。だからと言って愛紅にしたことが許されると思うなよ。」 「おい、仙蔵。どういうことだ。」 「隈先輩とはお前のことを如実に表してるじゃないか。」 そんな二人のコントのような姿すらどうでもいい綾人はまた無視をしてそこを立ち去ろうとする。 しかし、次に来たのは怒りを露わにした暴君だった。 戻る |