彼が一方的に処分する日



『あははははははは!!!!!楽しい、楽しいね!!!!ほら、こんなに真っ赤な紅。綺麗だね。』
「も、やめ、」


血に塗れた綾人は天使のような笑みで楽しそうに山賊たちの首を撥ねる。

山賊たちは思った。
襲う相手を間違えた、と。
しかし、どんなに懇願しても泣き叫んでも綾人の殺戮が終わることはなかった。


『あれー?もう最後なんだー。つまんないの!』
「た、頼むから、」
『え?助けてもらえると思ってるの?自分が?今まで散々人を襲ったことのある自分が?…あんたらさぁ、助けてくれって言って懇願したやつらを自分は助けたの?助けたことがある?人を襲って、売って、儲けて、そんなお金で生きてるんだからもちろん死ぬ覚悟も出来てたよね?だってそうじゃなきゃ、人を殺したり出来ないもんね。大丈夫。僕は一発で殺してあげる。あ、でも死んだ後にぐちゃぐちゃにするかもしれないけど許してね。だって僕は私は紅が好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いで嫌いでたまらないんだ。あはっ!』
「ひっ…!」


そう言って綾人は苦無を振り上げた。
が、それが山賊の首を撥ねることはなかった。


『あっちゃー!忘れてたー。あのさぁ、今日は僕たち以外にも捕まえたやついるんだよねー?それらの居場所教えてくれるー?』
「あ、ぁ、」
『うん。早くね?』


やはり綾人は天使のような笑顔で笑うのだ。
どれだけ自分が血に塗れていようと気にすることはなく。





『ふむ、ここが山賊とやらの隠れ家だねー!』
「なんだ!てめぇ!」
『バイバイ』


自分を襲ってきた山賊をいとも簡単に殺す綾人。
先程の山賊に隠れ家と山賊が捕まえたという少年たちの話を聞くと用済みになった山賊を消し、隠れ家まで走ってきた。


『あはっ!人がたぁくさん出てきたねー!でも、駄目、駄目だよーぅ!』
「な、なんだ…こいつ…狂ってやがる…」


綾人の血に塗れた姿を見て戦意をなくした山賊でさえ綾人は関係がないというように斬って嬲ってやりたい放題。

全ての山賊を斬った頃にはもう綾人の姿は紅ではなく、黒に近い色に身体全体が染まっていた。


『ふむ、これで終わりー!バイバイビー!』
「や、やめ、ぎゃぁぁぁあああ!!!!」



その頃、山賊に捕らわれた忍術学園三年ろ組次屋三之助と忍術学園二年は組時友四郎兵衛は牢屋の中で山賊たちがあげる悲鳴になにもできずただ怯えていた。


「次屋せんぱ…」
「しろべー泣くな。きっと、七松先輩と滝夜叉丸が助けに来てくれるからな。」
「でも、でも、」


俺が絶対に四郎兵衛を守らなくちゃいけない。
天女が来て、先輩方や金吾が駄目になった今俺しか四郎兵衛を守るやつがいないんだ。
こんなことになるなら、委員会を休めば良かった。先輩たちが来ないってわかったとき、休めばよかったんだ。

カタッ
「「っ!」」

二人は外から聞こえてきた物音にびくりと肩を震わす。
三之助は四郎兵衛を守るようにして、その身体を四郎兵衛の前へと押しやった。


『見っけ!君たち忍術学園の体育委員会の子たちだよねー!』


出てきたのはニコニコと笑っている滝夜叉丸並みに綺麗な顔をした男。
ただし顔にはべったりと紅い血をつけ、その身体には紅を通り越してどす黒くなった血をつけていた。


「っ…!」
『あ、ごめん、ごめん。僕の身体って今紅かったんだー!あはは!綺麗でしょ?まあいいや。僕は四年は組の久木綾人。ついでに君たちを助けに来たよー!』


直感的に感じた。
この人は狂ってるって。
でもその先輩を見てキラキラと目を輝かせる四郎兵衛も、血をたくさんつけて笑っているそれを綺麗だと思った俺もきっとおかしい。

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