[ 49/51 ] 「優雨!来てたのか?」 『まあ、うん。来たの今だけどね』 守は秋ちゃんが休憩を出してすぐに私の傍に来た。 一郎太ファンの女の子の目が怖くてこっちに来たよ。とかは言わないけど。こっちに来るって言った時の一郎太の目が忘れられない。 しょぼーんって感じだったよ。 私がんばってその目を振り切ったよ。 「あっ!そういえば、サッカー部に部員新しく入ったんだぜ!」 『そっかー守がんばったねー。』 棒読み?いいえ、気持ち的にはたっぷりです。 駆け寄ってきた嬉しそうな守ににやにや。 守が弟に見えてしょうがない。 可愛い。可愛いよ。 「あ、紹介するな!染岡と半田だ!」 そう言って、守が指差す方にはただの人影。 守…… 紹介するのはいいけど、その二人がこっちに来てからやりなさいよ… 二人ともこっち向いちゃいないよ。見てもないよ。 「染岡!半田!」 「あ?なんだよ」 「どうしたんだ?」 二人は守に呼ばれるとすぐにこちらにやってきた。 染岡こわっ! あ?って不良みたいだね! 駄菓子菓子、君はツンデレだ。 「俺の幼なじみの水無月優雨だ!」 『水無月優雨です。いつも守がお世話になってます。』 そう言ってぺこりと、頭を下げる。 一回は言ってみたかったんだ。 ごめんなさい。調子のりました。 「あぁ、お前が噂の幼なじみか。」 「なんか普通の子だなー」 確かに普通の子だけど半田に言われるのは心外です。エヘッ! てか、噂の幼なじみってなんぞや? 『噂って?』 「昨日、円堂と風丸が珍しく暗いからよ。話聞いてみたら、幼なじみっつー言葉が出てきたからどんな奴だって話してんだ。」 「そうそう。気になってたんだ。」 守と一郎太って…… いや、気にしちゃいけないと思うんだ。うん。 「そういえば、水無月優雨って並中の奴と同じ名前だな!」 『………並中の奴?』 そう言った半田に嫌な予感。 え?並中のやつ?恭弥のことじゃなくて? 「なんだ?知らねぇのか。ソイツは女のくせにあの雲雀恭弥と同じくらい強いやつなんだってよ。よく雲雀に呼び出されるらしいぜ。」 「えっ?俺は雲雀恭弥の奴隷って聞いたんだけど」 「そうなの?でも、その人って優しいって言う話だよ。」 いやん、秋ちゃんまで知ってるその噂。 ……それってもしかして、いやもしかしないでも、私の事? そんな噂初めて知ったよ! てか、秋ちゃんに優しいって言われちゃった。照れる。 「は?優雨が恭弥のどr『守。ちょっと来なさい。』え?優雨?」 「「「?」」」 私は口を滑らせた守の口を塞ぐと、守の腕を引っ張ってみんなからちょっと離れたとこまで連れてった。 なにこの子、うっかりやさんめ。 『守…恭弥が幼なじみって言っちゃダメでしょ!』 「あ。忘れてた。…でも、もう言っても大丈夫だろ。」 『あのねぇ……恭弥のことで私たちリンチされそうになったでしょー?』 「でも、その時俺たち返り討ちにしたじゃんか。」 平然と言ってのける守に思わず遠い目。 そうなのです。 恭弥ってホラ、暴君だからさ。いろんな人に恨み買ってて、私と守と一郎太と綱吉でリンチに合いそうになったんだよね。 まあ、その時に守と一郎太と綱吉は私を守りながら私たちをリンチしようとした奴らを返り討ちにしたんだよね。 ちなみに、その時の私は守たちがなにげ強いことに唖然としてた。そして、嫌な予感がしてた。 今思えば、あれが綱吉の超直感が出た一番始めだった気がする。 まあ、それで幼なじみっていうの隠すようにしたんだよね。 『とにかく、まだ駄目だからね!』 「んーわかった!」 素直に頷いた守にうんうんと頷く。 よしよし。私の育て方は間違ってなかったね。 『じゃあ、練習に戻って頑張ってね。』 「おう!」 守の背中をぽんと押しながら応援すると、守は素敵スマイルを私に向けてみんなの元へ戻っていった。 ……よし。私も応援しよ! なんにもすることがなかったなんて、そんな。 |