飴 のコピー | ナノ
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私が目を覚まして最初に見たのは綱吉のドアップでした。


『のぉぉおお!!』
「優雨うるさい。」
『すいませんでした。』


あーびっくりした!
綱吉の顔って可愛いから(お腹の中は真っ黒だけど)緊張するんだよね


『てか、今何時?恭弥は?』
「もう放課後だよ。恭弥は見回りに行った」


私そんなに寝てたのか。

自分の痴態に泣きそうになるけど、私泣かない!だって女の子だもん!とか、思ってないです。さーせん。


『で、なんで綱吉はそんなに顔近いの?』


ドアップのままなんだけど。
てゆうか、押し倒されそうなんだけど。
つーか、馬乗りになってるんだけども。


「え?別に。そういえば昨日の男って従兄弟なんでしょ?俺聞いてなかったんだけど。」
『あー忘れてたんだよ。うん。だからさ、そんなに怒らないでよ。』


私の馬乗りになりながら、綱吉がすっごい笑顔なんだよね。絶対怒ってるよね。

てゆーか、もうすぐでキスができそうなんだが。
いやん。私のファーストキスがwww


「……本当に?」
『本当です。』
「…へぇ。まあ今日は許してあげるよ。またあったらどうするか分からないけど。」


やだ、綱吉ったら色気のある笑顔。
そして本当になにする気なんだろう。いや、マジで。

つか、やべっ。
これバレてんじゃん。


「今日は守と一郎太に会いに行くんでしょ?早く行ってきなよ。」


にっこりとなんでもないような笑顔で綱吉が笑って私から退くと、そう言って出口を促す。

…あれ?なんか綱吉おかしくない?
なんか、いつもより腹黒が控えめ。


『綱吉どうかしたの?なんか変だよ』
「…別になんでもないよ。早く行ったら?」
『嘘だよ。綱吉たちのことは私が一番分かってるんだよ?綱吉のことほっとけるわけないでしょーが。』


私から退いた綱吉の首元の服を引っつかんで、グイッとこちらに引き寄せる。

すると、我慢できなくなったかのように、綱吉はぶわわっと顔をヘタレ綱吉に変化させた。


「っ〜〜!なん、で優雨は俺たちに秘密ばっかなの?俺たちは優雨のこと大好きなのに!小さい頃から俺たちに秘密にして!優雨が持ってる秘密がなんなのか俺たちは知らないよ?!でも、俺たちはずっと待ってるのにまだ言ってくれない!なんで!?あの男のことだって忘れてたわけじゃないだろ!?俺たちは信用できないの?!俺たちは優雨に必要ないのっ?」


綱吉は一気にそう言うと私の上に倒れ込んだ。


「優雨は俺たちのこと嫌いなの……?」


綱吉が呟いた言葉はすごく切なさがこもってて、

私は、綱吉たちにバレてないって思ってた。
私が前世の記憶があることは普通じゃないことだから。
誰も考えつかないようなことだから。


『綱吉…、……ごめんね』
「…なんで優雨が謝るの。」
『不安だった、よね。』
「っ…!優雨はいつも俺たちに言ってくれないんだ…!」


私、知らなかった。
綱吉たちが私が秘密を持ってるのを知ってて私と一緒にいるの。

それにこんなにみんなのこと不安にさせてたなんて。

だってもう忘れたと思ってたから。
死んでないのにマンガの世界に生まれ変わって、この世界の主要人物と幼なじみになって、

……でもさ、忘れられるわけないじゃん。

だって突然だよ?私はあそこで満足してたのに。
諦め早いって言ってもホントに諦められるわけないよ。
大事で大好きだったんだもん。

でも、それと同じくらいみんながいるこの世界が大事になったんだよ。


「優雨泣いてる…」
『え……?』


綱吉が私の目を拭うと確かに私は泣いていた。


『っな、つなよ、しぃ』
「優雨……泣かないでよ…」
『わたし、だ、って泣きたくて、泣いてんじゃ、ない、からぁ!』
カチャ
「「『……………』」」


あ、恭弥が帰ってきた。


「綱吉………咬み殺す。」
「…はぁ?」


なにを思ったのか、恭弥は一言そう言うと綱吉に向かってトンファーをおろした。

え、なんていきなりファイティング?
涙も引っ込むんだけど。


「ちょっ…!なにすんだよ!」


綱吉も寸前で避けた。

うん…メキメキと綱吉の戦闘力が上がってるとか、うん…私は悪くないとだけ言っておこう。


「綱吉こそなに優雨のこと襲ってんの。優雨泣いてるじゃない。」
「襲ってないから!」


恭弥は私が綱吉に襲われてたと思ったらしい。

なにそれウケるwwwただのギャグwww
ごめん、笑ってる場合じゃないよね。
大丈夫、顔には出してないから。
腐女子はポーカーフェイスなのよwww

ごめん、現実逃避がしたかった。


「君たちを二人にしたのが悪かったんだよね。優雨ごめんね。」
『恭弥……』
「優雨は否定しろよ!」


私の頬に手を添えて、申し訳なそうに謝るイケメン。うっとりとしてると、綱吉の声でハッと意識が戻る。

…恭弥がイケメンで否定するの忘れてた。


「優雨を脅すのは許さないよ。」


強く言った綱吉に、またまた勘違いした恭弥のトンファーが飛ぶまで、あと0.5秒。

m9(^Д^)プギャー