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『んでね、私達をえーっと…あ、今一番騒がしいとこに連れてってほしいの。んで、そのあと辺りに金縛りかけてくれる?』
《りょーかい!あの金髪もだよね?》
『うん。』


私がミコトに頼むとボールの中でだいたいは把握していたのか、すぐに実行してくれた。


『うわぁ…グロいね』
《ねー!リンネ大丈夫?出雲と龍も心配してるよ?》
『ん。大丈夫。』


私達が見たのはクルタ族が今まさに目を抜かれるところだった。
んー…、ギリギリセーフってとこかな?


『とゆうわけで、ここは私が今支配しました。動けないけど話は出来るはずです。各自話したいことをどうぞー!』


ありゃ?シーンってなっちゃった。おかしいなぁ。


「……お前は何者だ?」
『えー?だから生き物だって!』
「なっ!テメェふざけてんのか!団長の問いに答えろ!」
『えー?私答えたんだけど。』


フィンクス禿げろ。


「とりあえずこれ解くよ。それでお前のことささと殺すね。」
『あー無理無理。うん。質問はそれだけだよね。じゃぁ、幻影旅団の皆さんはどっかにサヨナラー。』
《バイバーイ!》


私がそう言うとミコトはすぐに旅団をどっかにテレポートで飛ばしてくれた。


『んー。これで終わりかぁ。だーいぶ疲れたわ。』


私は疲れをとるように背伸びをすると龍くんの上に寝転がる。


「あの!あなたは誰ですか?」


すると下から私の名前を聞く声が聞こえた。
私はその問いに答えるのがめんどくさかったので『秘密ー』とだけ言って手を振ると龍くんに森が生い茂る場所まで飛んでもらった。

そうして私はクルタ族と接触することなく村を後にした。


???Side

俺達の村を救った救世主はそうして村を去って行った。




俺が川で水を汲み終えて村に戻ると村は燃え上がっていた。
死体はあまりなかったけど、一度見た死体は目だけがくりぬかれていて、俺達の目を狙った賊が来たのだと幼い俺にも分かった。
俺はとにかく走った。俺の父さんは勇敢な人だ。きっと賊と戦ってる…!

夢中で走っていた俺は気付かなかった。
俺にめがけて焼け落ちた家が倒れてきてるのを。
気付いたときは既に目の前に迫って来ていて思わず目をつぶって死を覚悟した。


「(死ぬ……!)」
「――――!」ドォォオオン!!
「痛く、ない?」


いつまで経っても衝撃が来なくて恐る恐る目を開けると、何か不思議な生き物が倒れてきたそれを小さな体で押し退けていた。


「あ、ありがとう」
「――!」


不思議な生き物はどういたしまして、とでも言うように首を縦に振ると、すぐにどこかに行ってしまった。
俺はそれを姿が見えなくなるまで見ていた。
見えなくなると俺も自分がしなくちゃいけないことを思い出してすぐに走り出した。

やっと俺が父さんたちの元までたどり着くと全てが終わりそうだった。
何か黒い大きな龍(というには歪)のようなものに乗っているフードをかぶっている人物が桃色の生き物と一緒に話をしているようだった。
その二人が手を振ったとたん、賊は消えた。

俺はこの村の恩人に名前を聞きたくてどこかに行ってしまいそうな恩人に俺にしては珍しく声を張り上げて名前を聞く。
でも返ってきたのは『秘密』という言葉だけだった。


「クラピカ…」
「父さん…」
「あの少女たちに私達は救われたんだ。そいつを忘れるな。」
「はい……!」


それから俺は強くなってハンターになってあの恩人を探すことに決めた。

*