巡音一族 [ 38/56 ]

『出雲、リーフィアになってこの家の周りに蔦を。再不斬たちを護ってね。』
《任せて!》


出雲の言葉を聞いてから私はレッドを出す。
ちなみに【かくれんぼ】なう。
ので、私たちは他の人からは見えない。

再不斬たちには言いたいことをすべて言うと一週間考えてと言ってから二人の隠れ家を出た。

そして私がこれから行くのは水の国の隠れ里である霧隠れの里。


『レッド!急いで霧隠れの里までお願い!』
《ったく。しょうがねぇなぁ。》
『ツンデレ乙』


私がそう言ったらレッドはどもった。
うん。そこがレッドのヘタレなところだね!!
まぁ可愛いんだけど。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


私の目の前にはとても美人な照美メイ様。
そしてその隣には側近が二人。
美人だ…とても美人だ…

なんだか敗北感を感じつつ、私は照美メイ様の言葉を待った。


「貴女が巡音一族最後の生き残りですね…私は霧隠れの里の水影に代わり照美メイです。初めまして。」
『初めまして……ではないですよね。お久しぶりです。巡音リンネです。』


ニコッと笑って私は照美メイ様の顔を見る。
すると、照美メイ様は驚いたようにピクリと体を揺らした。


『私が幼い頃に一度会ってますよね?』
「覚えていたのね…」
『ええ。記憶力だけはよいので。』


クスリと含んだように私は笑う。
余裕を持っているように。


『私を産んだ母とは幼馴染だったようで。まあ、もうあの人はいないのですけど。』
「貴女は…あの子を恨んでいるの?」


思ってもみなかった照美サマのその言葉に私はキョトンと照美サマを見る。


『恨んではないです。むしろ感謝してます。あの人が私を木の葉に捨ててくれたから、私は巡音一族最後の生き残りになれたのですから。』
「あの子を母親とは思っていないのね…」
『そう、ですね。あの人も私を自分の子どもだとは思っていなかったと思いますし。』


私がそう言うと照美サマは悲しむように目を伏せる。
でも、実際そうだからしょうがない。
私は前世の記憶があったから、あの人の本当の子どもにはなれなかったのだし。


「…………」
『まあ、それはいいですけど。話しに入ってもよろしいですか?』
「ええ…」


サラッと話しを変える。
あの人の話してるのはめんどいし。
私にとってあの人は好きでもないし嫌いでもない。いわゆるどうでもいい存在。

だから、あの人の話をして悲しむような素振りを見せる照美サマが分からなかった。








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