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『千手扉間は巡音一族を悪い評判を里に広めた。巡音一族三代目も千手扉間の意思を組んで巡音一族には千手扉間の悪い評判を。広めても争いにはならなかったのは千手扉間と巡音一族三代目当主が止めていたから。だから、私が産まれた頃には巡音一族と木の葉の里は冷戦状態になっていた。』
「そんな…では、巡音一族が情報収集をやめたのは…」
『心が病むからですね。』


サラリと私は話す。
何ににも属さなかった巡音一族がとても大切にしていた木の葉の里。
木の葉の里もまた巡音一族を大切に思ってた。


『まあ、それはどうでもいいんですよ。問題は桃地再不斬とその仲間の追い忍をなくすこと。見返りが欲しいと言うのであれば、私のチャクラをお渡ししてもよろしいですよ?特に…左にいる日向の目を持った方は好きそうですよね。そういうの。』


ニパッと子供らしい笑顔で無邪気に笑う。
日向の瞳を持った側近その@は驚いたように私を見ていた。


「チャクラを…」
『はい。チャクラを渡すだけなら支障はないんで。』


私がそう言うと照美サマはフルフルと首を横に振る。


「いえ…チャクラはいりません。」
『いいんですか?』
「ええ。その代わり、これから情報収集をなさる時に貴女が元気にしてくれれば…」


そう言って微笑む照美サマが誰かと重なって見えた。
首を振ってそれを吹き飛ばすと私は笑ってお礼を言う。


『ありがとうございます。では、桃地再不斬、およびにその仲間はこれから私の部下になるということでよろしいですか?』
「いいわ。あと…貴女には渡さなくてはならないものもあるの。」


それに首を傾げて水影サマを見る。

私としては早く帰りたいんだけどな。
ミコトが気になる。なんか大変なことをしてそうで。

私がそんなこと考えていると照美サマは横にいた日向の瞳を持った側近その@に何かを頼む。
側近その@はそれに一瞬だけ目を開くとすぐにその場から消えた。


「貴女のお母様…巡音マコトは当主の愛人だったのは知っていますね。」
『はい。』
「マコトと私が会ったのはまだ私が忍になって日が浅いころ。それから私とマコトは親友でした。今思えば、マコトも情報を扱いすぎて心を病んでいたのかもしれません…」


そう言って泣きそうに微笑む照美サマは、私が産まれた瞬間に微笑んでいた母と同じに見えた。
ボーッとしながら照美サマを見ていると、側近その@が帰ってきて何か手紙の束を照美サマに渡す。
照美サマはその手紙の束を私に差し出してきた。


『?これは?』
「マコトからの手紙です。貴女のことが書いてあります。」
『……』


無言でその束をとって、私はそれを照美サマに返した。


『返します。私には既に家族がいます。大切な人がいます。今さら、母のことは思い出したくないんです。』
「…そう。でも、これだけは知って。マコトは貴女を大切に思っていた。愛していたわ…」
『失礼します。』


そう言うと私は照美サマがいた部屋から出た。
知ってた。私の母が病んでたことは。
でも、だからって私にしたことを赦したくない。

はぁ、と一言ため息を吐いて髪をぐしゃりとやってから私は霧隠れの里を後にした。



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