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クスクスと笑いながら私のとーうじょう。

白と再不斬は案の定驚いたように私を見ていた。


『再不斬くん、お久しぶりー!!白くんとは初めてだけど昨日いたよね!!』
「てめェは…」


再不斬の言葉にクスクスと笑っていたのを止めてニンマリといやらしく笑う。


『なみ…じゃなくて、巡音リンネだよ。よろしく!!』
「…何の用だ。」


その言葉と同時に白が私に向かってくるのが分かった。私はそれをフワリとかわして白を受け止める。


『白くーん。まだダーメだよ?それに私に敵うわけないじゃーん!!』
「くっ、」


白を拘束すると私はケラケラ笑う。
そしてすぐにパッと白を離した。
白は私からすぐに離れて再不斬を守るように立つ。


『まぁまぁ、そんなに警戒しないでよー?…私は君たちにいい話を持ってきたんだよね。』


ニコニコと笑っていた顔から真剣な顔にする。
これから話すのは笑い話じゃないからね。


「なんだ…」
「再不斬さん?!」
「いい…聞くだけだ…」
『ありがとう。…私が今から話すことは火影サマにも許可は取ってるから後は君たちが頷いてくれるといいんだけど。』


私はそう前置きしてから二人に話し始める。
今から話すのは私のエゴ。


『まずは前提として話すよ。…私は君たちを雇うっていう形で木の葉の里に来てほしい。』
「「 !! 」」
『あ、質問は後で受け付けるから。私は力が欲しいんだ。』


ミナトとクシナに変わってナルトを助ける為にも力が欲しい。
それは私たちの力でも充分かもしれない。
でも、私はミナトとクシナを助けられなかった。
だから、私は他の人を助けなくちゃ。


『私は木の葉の里に木の葉の里の忍システムとは違う機関を作るつもり。仕事は主に情報収集と情報の売り買い。別に私一人でも平気だけど念の為にね…。で、その為にも君たちには木の葉の里に来て欲しいんだよね。見返りは木の葉の里の住民票と霧隠れの里の追い忍をなくしてあげる。ちゃんとお金が手に入れば給料も出す。家だってある。まあ、その時は私と住んでもらうけど。どう?悪い話じゃないと思うけど。』


そう言って私は二人に話を振る。
私が考えていること。
それは堂々と抜け忍を引き取ることができる機関を作ること。
最初は、再不斬と白の二人を死んだことにして木の葉の暗部にでもならせようかと思った。
でも、それじゃあ再不斬と白は絶対にナルトたちには会えなくなる。
それは駄目。私が望むのは再不斬と白も一緒にいて、なおかつナルトが笑っていられる世界。
なら、抜け忍を堂々と受け入れるしかない。
霧隠れの里には既に再不斬と白の追い忍を止めるように手紙を送ってある。
後は、水影にあってそれを現実にすればいい。


「もし、オレたちが途中でてめェを気に入らなくなったらどうするんだ…?」


再不斬の言葉に私は意識を現実に戻す。


『うーん。ぶっちゃけ私は別に二人がどうしても欲しいわけじゃない。それよりも、私は再不斬と白が生きてるって未来が欲しいんだ。』
「それはどういうことですか?」


おずおずと聞いてきた白の言葉に私はニコッと笑って答える。
おずおずしてる白……いい!


『うまく言葉では表せないんだけど…とりあえず私が今言ったことは君たちを受け入れる為の大義名分。情報収集は私と私の家族だけでも出来るし。だから君たちが私が気に入らないって言って出て行っても私は構わない。』
「…リンネさんは、なんで僕たちにそこまでしてくれるんですか?」


白のその言葉にうーんと頭を捻らせる。
なんで、かぁ。


『変えてみたいと思ったから。』
「え…?」
『つまんないじゃん。変わらないって。私は楽しいことが好きなんだよね!!だから変えてみたいんだ。』


ミナトとクシナの未来は変えられなかった。
でも、今なら変えられる。
悲しい未来なんていらない。楽しい笑える未来が私は欲しいんだ。






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