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「へーこりゃこりゃ。霧隠れの抜け忍桃地再不斬君じゃないですか」


そう言ってカカシは桃地再不斬を睨みつけるように見る。
ナルトはニヤリと笑って再不斬の元へ行こうとする。
私はそんなナルトの服の裾を引っ張ってそれを制す。


『ナルト、ダメだよ。』
「リンネ?!」
「ナルト…リンネの言う通りだ。下がってろ。こいつはさっきの奴らとはケタが違う。」


カカシはそう言って自分の目を覆い隠していた額当てを掴む。
たぶん、いつでも戦えるようにするために。
その横で私は目を瞑る。


「写輪眼のカカシと見受ける…。…悪いが、じじいを渡してもらおうか。」


再不斬の写輪眼という言葉にサスケくんがピクリと反応したのが目を瞑っていても分かった。


「お前ら…卍の陣だ。タズナさんを守れ…お前たちは戦いに加わるな。それがここでのチームワークだ。」


その言葉を聞きながら私は集中する。

大丈夫。さっきは油断してただけ。
守れる。ううん、守らなくちゃいけない。

大きく息を吸って吐くとまっすぐに前を見据えた。

まず、私のやる事は再不斬と戦うことじゃない。
ナルトたちを守ること。


「リンネ、今回はリンネも加わるな。ナルトたちを守れ。」
『大丈夫。ナルトたちは心配しないで。私が絶対に守るから。』
「あぁ、頼む。…再不斬、まずは…オレと戦え」


カカシはそう言って写輪眼を隠していた額当てをぐいっと上にあげた。
初めて写輪眼を見てビクビクしてるナルトが可愛い。
そんなことを考えつつ、私は肩にいるミコトに指示を送る。


『ミコト、今のうちに私のモンスターボールから出雲を出して。一応【隠】もしとくから。』
《任せてー!》


サスケくんがナルトに写輪眼の説明をしている間に出雲とミコトを【隠】で隠して近くに隠れている男の子の元へ向かわせる。
カカシと再不斬にはなるべく長い間喋ってて貰わないと。
円をして隠してる間は絶状態になるから私、無防備になっちゃうんだよね。


《リンネー、隠を解いてもいいよー!》
『よし、ギリギリ間に合った!ありがと、ミコト!』


本当にギリギリだった。
すでに再不斬は水の上でチャクラを練り込んでいる。
タズナさんの後ろに回りこみながら私もオーラを足に集中させる。


「忍法…霧隠れの術」


そう言って目の前から消えた再不斬。
これが私の本当の任務の始まり。



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