[ 28/56 ]


《ひくっ……ぅえ、》


部屋には出雲の泣き声が響く。
私は正座して出雲を離せないでいる。
やだ。コレなんてゆー拷問?


『出雲ぉ…泣かないでってばぁ…』
《だって、だってだってリンネは僕に相談してくれないし……僕はリンネに助けられてばっかりなのに…》


しょぼんと耳を垂らして俯く出雲。
私は不謹慎にもそんな出雲にきゅんきゅんしてた。
だって可愛いんだって!!
トキメキを押さえきれなくなった私はぎゅぅーっと今まで以上に出雲を抱き締める。


《リンネ…?》
『私ね!出雲のことだぁぁぁあいすきだよ!!!だって出雲は私が1番最初に出逢った初めてのパートナーだし!!それに、出雲は私を助けてくれてるよ?出雲がいたおかげで私はポケモンの世界で生きていけたんだもん!!それにハンターの時だって出雲はずっとずーっと私の側にいてくれたでしょ?すごく嬉しかった!!』


初めてトリップして絶望してた私は出雲のおかげで生きる気になれた。
ハンターの時だってみんながいなかったら私はすぐに死んでた。


《僕はね、リンネ。あの時、僕を庇って死んだリンネが今でも忘れられない。真っ赤な血を心臓から出して、だんだんだんだん冷たくなっていくんだ。僕も死にたかった。ゴンたちには悪いけど、本当はリンネがいなくなった時、僕たちはとってもとっても絶望したの。リンネを殺した犯人を殺しても足りなくて、僕、いっぱい殺したの。今でも苦しい。リンネが僕たちを置いてまたいなくなるんじゃないかって。リンネ、リンネリンネっ》


出雲はそう言いながら私の胸に擦り寄る。
初めて聞くそれは私がいなくなった後の話。


『ねぇ、出雲。』
《なぁに…?》
『約束しよう。』
《や、くそく?》


そうだよと言いながらにこっと笑う。
それに出雲はこてりと首を傾げた。


『まずね、私、ずぇーーったい!出雲たちに隠し事しない。泣きたいときは泣くし、笑いたいときはなく。だから、出雲たちもね。私に隠し事はしないでね。』
《うん…》
『あと、私が例え死んだとしても信じて。』


真剣な顔で出雲の瞳をしっかり見ながらそう紡いだ。
それに出雲はぶんぶんと首を振って否定の言葉を出す。


《っ、やだ!やだやだ!リンネが死ぬところはもう見たくない!見たくない!》
『出雲。』
《、な、んで?》


私のいつも以上に真剣な声に負けたのかおそるおそるという感じで出雲は私に聞いた。


『きっと、きっとね、私が死んでも私はまたみんなに逢えると思う。』
《……》
『だって今回も逢えたんだもん!絶対また逢えるよ!』


これは予感。
と、いうよりは希望。
でも、ほら信じるものは救われるって言うし!


《…ほんとう?》
『出雲たちが信じれば、だけど。』
《信じる!信じるよ!》
『じゃぁ大丈夫だね!!!出雲だぁいすき!!!!めっちゃ可愛いんだから!!!!』


我慢できなかったんです。
私は出雲を抱き締めるとベッドに乗ってぎゅーっと抱き締めたまま寝た。
龍くんじゃないけど眠かったんだ!!!

私は疲れていたのと、ふわふわの出雲が気持ちよすぎるのもあってのび太くんのようにベッドに入って三秒で寝れた。


《リンネ…僕もリンネのことだぁいすきだよ》


私が寝た後に出雲がそう呟いていたのは残念ながら聞き逃してしまった。

さらに言えば、私が寝静まった頃にナルトが来て五人に夜通し下忍試験のことについて語っていたのは気付かなかったのである。

朝、起きて出雲とみんながいるところに行ったら五人がぐったりしててナルトが生き生きしていたのは恐かった。



[*prev] * [next#]