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《あ、おかえり!》
《リンネーー!!葵寂しかったよー!!》
《リンネおかえりー!ぼくね、ぼくね葵と一緒に大人しく待ってたよ!》


私が帰ると同時に私の胸に飛び込んでくる出雲と葵とロア。
私はそれに安心して三人を抱きしめたままへたっとそのまま座り込んだ。


《リンネー?どうしたのー?》
『ミコト…』
《だっ、誰かにイジメられたか?!誰だ!!》


レッドはオロオロと私を心配した瞳で見る。
それはミコトも、私の胸の中にいる三人も同じで、
ただ龍くんだけが遠くから私を見つめていた。


『あはは、なんでもないよ。大丈夫。みんながいてくれるからね。』
《リンネ……?》


私はふにゃりとみんなに笑いかける。
でも、それは無理してるってすぐにみんなに気づかれて、
出雲はさらに心配したように私の頬をふわふわな手でさらりと撫でた。

あぁ、この子たちには隠せないなって思った。


『……なんかね、なんか、私、わかってたのに八つ当たりしちゃってさ。分かってるんだよね。ほんと、さいてー。』


はは、と私は下を向いて渇いた声で笑う。
すると誰かに私の髪の毛を引っ張られた。
それに気付いて私は顔を上げる。


《…最低じゃないだろ。》
『……龍くん?』


私の髪を引っ張ったのは今まで遠目から私たちを見ていた龍くんだった。


《リンネはムカついたんでしょ?それでいじゃん。それに俺はリンネがほんとに最低だったとしても好きだから。だから、さ。泣いてもいいよ。前にも言っただろ?泣きたいなら泣いていい、って。》
『……なんかさ、龍くんってすごく男前だよね。そーゆとこ、好き、だいすき。』
《そう?ありがと。》
『みんな好き。だいすき。』


龍くんの言葉に久しぶりにポロポロと涙が零れてくる。
なーんか、私ってこの子たちの前だと涙腺弱いなぁ…


《リンネは泣き虫だね!でも、葵ねー泣き虫リンネも好き!》
《ぼく、早くおっきくなってリンネのこと護ってあげるからね!》
《ったく、しょーがねぇからな!いちお、オレのトレーナーだし。》
《リンネはボクの宝物だしねー!!泣き虫なとこかわいー!!》
《久々に喋ったらねむ……》


そう言って私を取り囲む五人。
…一人だけおかしい子がいるけど。
さっきの格好良さはどこ行ったんだろ。

ただ、さっきから出雲が黙ったまま私の腕から離れない。
葵とロアが私の腕から出たのに、だ。
いつもは二人に遠慮して二人が見てる時じゃあんまり甘えないんだけどなぁ。


『……出雲?』
《僕、頼りない?頼りないパートナー?》
『えっ?!ちょ、なんで泣くの??!!』


出雲の顔を覗くと出雲は瞳からポロポロと涙を流していた。
私は驚きで自分の涙も引っ込む。
え?!ちょ、マジでなぜに???!!!!!
可愛いんだけども!!!
…あ、不謹慎ですよね。ごめんなさい。


《……ボクたち違う部屋にいるねー!ほら、葵とロアも行こー?》
《《はーい!》》
《オレらも行くぞ。》
《……ん。》
《自分で歩けよ!!!!》


五人はそう言いながら部屋から出て行った。

てゆうか、龍くん自分で歩こうよ。
なんだかんだで龍くんを引きずってあげるレッドはとてもツンデレでいい子だと思う。

…はい。現実逃避してる場合じゃないですね。
部屋に残されたのはポロポロと涙を流し続ける出雲と私だけだった。



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