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クシナとミナトとは私を実の子供のように可愛がる。私、自分のこと化け物って言ったはずなんだけどな。

クシナは私が初めてしゃべったあの日から私の食事にとても気を使ってくれて、私が食べやすいようにお粥とかを用意してくれる。ミナトは一緒にお風呂入らない?とか親バカだし。あ、ミナトとはお風呂一緒に入ったことないよ?私も精神的にはいい歳だし。

でも、それがちょっと私にとってくすぐったいような妙な気持ちをさせる。


クシナSide

「リンネの髪は綺麗よね」
『そう、かな?』


お風呂から上がったリンネの髪を乾かしながらリンネにふと思ったことを言う。でもリンネから出た言葉はなんとも歯切れの悪い返事だった。


『私、ね?この目と髪、嫌いなんだよね。ホント大嫌い。真っ黒の方がよかったな。』
「なんで?私は綺麗で羨ましいな」
『だって、私、巡音って嫌いなんだもん。』
「え、?」
『あ、髪乾いたね。クシナありがとう。』


リンネはそれっきりそのことについては何も言わなかったけど私はこの子を守りたいって強く思った。

リンネは結局自分の名前と年齢それ以外は言わなかった。けど、見た目からリンネは巡音一族の当主の血を引いていると分かった。私とミナトはこの子を守りたいって思った。この子は精神的に不安定だ。なにがあったかは聞かない。そのうちリンネの心が癒されたら自ずと私達に言ってくれるって信じてるから。私達の中ではもうリンネは家族なのだ。


「クシナー…疲れたよー…」
「ミナトお疲れ!やっぱり火影の仕事は大変?」
「そりぁもう。書類が多くって。…あれ?リンネは?」
「もう寝たわよ。」
「寝顔見てくる!」
「起こさないでよね」


ミナトはだいぶ親バカ。お腹の子が生まれたらどうなることだか。


『に゙ゃぁぁぁああ゙あ゙あ゙!!』
「わっ!ごめんって!」


すると、突然リンネの叫び声が聞こえてきた。それと一緒にミナトの謝る声も。


「ミナト…リンネのこと起こしたってばね…」


私は椅子から立ち上がるとミナトをとっちめるためにリンネの寝室へ向かった。





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