今日は団蔵の様子がおかしい。
いつもは学校に来てすぐに中嶋さんのところに行って、さらに休み時間の度に中嶋さんのところに行くのに今日は行かない。
「なんかあったの?」
「あ、あぁ、兵太夫か。別になんもねぇよ」
なにこれ。団蔵のくせに生意気。
「いだっ!…なにすんだよ!」
「別に。」
僕は団蔵の頭を思いっきり叩いた。
だってイラっときたし。ウザいし。
「だんぞぉ〜今日も遊べるのぉ?」
「あぁ、いいよ。」
僕と団蔵が話しているとケバいブスな女が近づいてきて媚びを売るように団蔵に擦り寄る。
は、?なに。団蔵って女遊び止めたんじゃなかったの?
「団蔵、ちょっとこい。」
「はぁ?なにすんだよ!」
僕は香水臭くてケバい女から団蔵を離して人気のない屋上へ続く踊り場まで向かう。
『あ!団蔵くん!』
「……………」
『だんぞ、くん?』
途中、中嶋さんとすれちがったのに団蔵は中嶋さんを無視していた。
そんな団蔵に中嶋は泣きそうな不思議な顔をする。
あれ?これって中嶋さん団蔵のこと好きなんじゃないの?
そんな中嶋さんを横目で見ながら団蔵も泣きそうな顔をしていた。
踊り場まで着くと団蔵に畳み掛けるように話しかける。
「なんで女遊びやってんの?なんで中嶋さん無視してんの?なんで中嶋さんに話しかけに行かないの?なんで「ちょ!兵太夫いきなりなんだよ!」団蔵がおかしいからじゃん。」
そうそう。もとはと言えば団蔵が悪いんだよ。僕、女遊び激しい団蔵より中嶋さんを純粋に好きな団蔵の方がよかったんだけど。
「別に関係ねぇだろー」
「はぁ?それ本気で言ってんの?」
「なにが?」
僕の言葉になんでもないように平然と言う団蔵。
あーもー!アッタマきた!
「じゃぁ、もういいよ。中嶋さんは僕が貰うから。」
そう言って僕は体を翻して教室に戻ろうとする。
すると、肩を団蔵に掴まれた。
「……なに。」
「ぁ……別に」
「じゃあ離してくんない?僕、今から皐月ちゃんのとこ行くから。」
ほんっとイライラすんなぁ!
男ならはっきり言えよ。
「てか、皐月ちゃんって男いるから!兵太夫でも無理だって!」
あ、今、僕心の底からムカついた。
「死ね。」
「はぁ?!なんでだよ!!」
「男いるって知ったから簡単に皐月ちゃん諦めたんでしょ。で、皐月ちゃんを傷つけたんでしょ」
「っ!」
「そんな最低な男は死ねばいいよ。」