「好きな人が出来た!」
伊助以外のは組がそろっている教室にずかずかと団蔵が入ってきたと思ったら団蔵は黒板の前にある教卓にバンッと手を置くとそう宣言した。
「ふーん」
「えーっと…団蔵よかったね!」
「あっ!それでね兵ちゃん、ここをこうしたらいいと思うんだけど」
「うん。確かにそれいいかも!」
「しんべ〜その菓子俺にも一口くれ!」
「いいよ〜はい、きり丸」
「おっ!さんきゅー」
「金吾〜なめくじさん見て見て〜」
「喜三太!なめくじを教室に持ってくるな!」
「え〜!虎若は別にいいと思うよね〜?」
「母ちゃん(伊助)に怒られてもいいならな」
「今はいないから大丈夫〜」
団蔵がそう宣言すると反応したのは庄ちゃんと乱太郎だけだった。
庄ちゃんは本を読みながらの適当な返事だったけど。
「お前ら、俺が好きな人できたんだぞ!聞きたくないのか!」
「どうでもいい」
兵太夫がそう言うと乱太郎以外はうんうんと頷いた。
しんべえと喜三太はいたってはお菓子となめくじに夢中で話聞いてねぇし。
「……………………」
俺たちの反応に傷ついたのか団蔵は壁に向かって“の”の字を書き始めた。
……ぶっちゃけ、うっとおしい。
「団蔵、私は団蔵の好きな人の話聞きたいな」
乱太郎はそう言って教室の隅でいじやけている団蔵の肩を叩いた。
そうすると団蔵はいきなり立ち上がって
「しょうがないな!教えてやるよ!」ドヤァ
うざかったから飛び蹴りした。
好きな人が出来ました
「きり丸!なにすんだよ!」
「……条件反射?」
「意味わかんねぇ!」
「お前がうざかったから」
「ひどくね?!」